スター・マイカ<3230>中古マンション事業の“ハイブリッド型” が収益基盤の安定化に

2014年10月6日 11:27


*11:27JST スター・マイカ<3230>中古マンション事業の“ハイブリッド型” が収益基盤の安定化に
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』10月2日放送において、スター・マイカ<3230>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■会社概要
中古マンション事業を主力とする。主に1 都3 県のファミリータイプの賃貸中の中古マンションを買い取り、賃料収入を得ると同時に、賃借人の退室後はリノベーション(間取りや内装を含め、機能的にもデザイン的にも室内全体を一新する工事)を施した上で、一般消費者に売却する事業モデルとなっている。

■事業概要
事業は3 つに分けられ、主力は中古マンション事業。
同事業では、中古マンションを1 室単位で購入。購入後は、同社独自のノウハウでリノベーションを施し、中古マンションとして市場で販売して売却益を得る。また、同社では賃貸中の物件を積極的に購入しており、賃借人の入居期間中は賃料収入も得ている。なお、同社が対象とするのはファミリータイプのマンションであり、いわゆる投資対象であるワンルームマンションや高額マンションは事業対象としていない。

■インベストメント事業
同事業では、中古マンションではなく、賃貸用不動産(住居) を1 棟買いし、それを継続保有して賃貸運用する。これらの不動産は有形固定資産に計上されている。2014 年5 月末現在の有形固定資産額は8,365 百万円(前期末比3.6% 増) で、この大部分がインベストメント事業用の賃貸用不動産である。

■アドバイザリー事業
同事業は前述の事業と異なり、バランスシートを使わない、純粋なフィービジネスである。金融と不動産のノウハウを融合し、エンドユーザーだけでなく、投資家、不動産保有者、開発業者等に対して様々な仲介・管理等のアドバイザリー・サービスを提供している。同分野においては、居住用マンションの取り扱いに特化した仲介事業をスター・マイカ・レジデンス( 株)、投資用物件の仲介・管理をファン・インベストメント( 株) (ともに同社子会社) がそれぞれ展開している。なお、中古マンション事業における売却については、一部は販売子会社による直接販売も行っており、その外部顧客から受領する仲介手数料もこのアドバイザリー事業に含まれている。

■特色・強み
同社の中古マンション事業は、マンション賃貸業と再販事業を兼ね備えており、非常に特色のある(他社と差別化された) 事業展開を行っている。具体的には、安定した収益基盤、「付加価値」を創造するリノベーションなどが挙げられる。

■安定した収益基盤とは
同社の中古マンション事業の特色の1 つは、「賃貸中のファミリー向け中古マンションを1 戸単位で取得する」ことにある。これらのマンションの多くは、ワンルームマンションなどと異なり「投資資金」があまり流入しないため、価格推移が比較的安定している。また、購入対象物件は首都圏を中心とした流動性・利便性のある物件に絞り、販売時の売れ残りリスクを低減している。
中古マンション販売の同業他社の多くが「仕入れては売り、仕入れては売り」の事業モデルであるのに対して、同社は「家賃」と「売却」の“ハイブリッド型” であることが大きな特徴であり、これが収益基盤の安定化につながっている。

■「付加価値」を創造するリノベーション
同社では、企業理念として「“作る” から“活かす” 社会を実現する」を掲げている。つまり、住宅市場にも「リサイクル」「エコ」の考え方を取り入れ、「今あるもの」を活用することを事業の基本方針としているのだ。リノベーションにおいても、同業他社が行っているような単に壁紙や床材の張り替え、什器類の交換などだけでなく、消費者にとっての価値が付加されるようなリノベーションを実施。「新たな住まい」として機能的・性能的にも一新することで資産価値を高めており、これによって同業他社との差別化を図っている。

■14年11月期の業績見通し
2014 年11 月期の通期連結業績は、売上高が前期比5.2% 増の14,251 百万円、営業利益が同8.2% 増の1,951 百万円、経常利益が同8.1% 増の1,330 百万円、当期純利益が同7.8%増の802 百万円を見込んでいる。営業最高益の更新に向けて足元の進捗は順調であり、また、在庫を豊富に抱えていること、業界環境が比較的良好であることから判断すると、達成される確率は高いだろう。

■中古マンション市場の動向
中古マンション市場は、今後も大きな伸びしろのある市場だと予想される。現在、日本では600 万戸超の巨大な中古マンションストックが存在しているが、新築マンションの供給が依然として低水準であることから、今後も中古市場の一段の拡大が期待される。同社の活躍余地はさらに広がるだろう。

■市場への政策による追い風
政策の面でも中古住宅市場には追い風が吹いている。欧米では住宅流通市場の主役が中古住宅(70 ~ 90%) であるのに対し、日本ではまだ10% 台にとどまっている。国土交通省では、「既存住宅(中古住宅) 市場」の活性化において数値目標を設定しており、住宅流通市場における既存住宅のシェア(平成20 年14%) を平成32 年までに25% にするとの指針を示しており、その達成に向けて様々な政策を実行している。
マンションストックの増加や核家族化による世帯数の増加、人口の首都圏集中によって、特に大都市圏の中古マンション市場は、今後も加速度的に拡大すると考えられており、これも同社にとっては追い風だろう。

■今後の経営戦略
今後数年は積極的な拡大策を取る方針で、販売用不動産(現在残高28,640 百万円) を近い将来には30,000 百万円まで積み上げる計画だ。また、投資用不動産についても積極的に積み増していく。

■他社との協業
今年5 月には同業のインテリックス<8940> と共同事業を開始している。両社が持つ豊富なノウハウやサービスを活用し、共同で物件のリノベーション・販売を行う。第1 弾物件(東京・南青山) では、同社が保有・販売する物件に、インテリックスが設計・施工を行う形での供給となった。
年内にはさらに数物件の共同事業を予定しているほか、将来的には資材の共同調達、共同プラットホームの開設、マンション修繕履歴の共同管理を含む幅広い協力関係へと発展させていく考えだ。両社の協力によって高品質なリノベーション物件が豊富に供給されれば、中古マンション市場の一段の活性化につながることが期待される。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30~14:45放送《TM》

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