「FC2」関連会社家宅捜索 謎の会社のベールは剥がれるか?

2014年10月5日 20:51

 インターネット動画投稿サイト「FC2」に、ドラマなどの動画を違法投稿した疑いで、16人が著作権法違法で検挙された事件。9月30日には、京都府警が大阪にあるFC2関連会社の家宅捜索を行った。

 FC2は動画の他にもブログサービスなどを行い、2000年代中頃から急速にインターネット上でシェアを伸ばした会社だ。しかし多くのIT系企業と異なり、会社の実態や経営者の人物像が表に出ることがほとんど無く、「謎の会社」と噂されることもあった。今回の捜索で、その謎のベールが剥がされつつある。

 数ある動画サービスの中でも、GoogleのYouTube、KADOKAWA・DWANGO〈9468〉のニコニコ動画に次いで日本で利用会員の多いのがFC2動画だ。利用者が増えるにつれ、著作権上違法な動画に対しては素早く削除措置を行うようになったYouTube、ニコニコ動画とは異なり、FC2はかなり規制が緩く、ある種の無法地帯でもあった。今回摘発されたドラマなどの違法動画もそうだが、他にもアダルト動画や、中には性行為のライブ動画の配信なども行われていたようだ。

 なぜFC2は無法地帯であり得たのか。理由は本社がアメリカに存在していることが挙げられる。FC2本社はアメリカ・ネバダ州にあり、法的な措置を取るにはアメリカで州法などにのっとって裁判を起こす必要があるため、著作権権利者らが訴えを起こしにくい状態が続いていた。

 また、会社自体は1999年に日本人がアメリカで創業したとされているが、公式ホームページを見る限りでは、代表者の名前は外国人のものとなっている。日本国内での利用者数の多さから、「アメリカにあるのはペーパーカンパニーで、実態は日本の会社ではないか」という説もまことしやかに囁かれたことがあるが、日本国内ではあまり知られていないだけで、他のアジア諸国やヨーロッパ諸国向けにもサービスを多く行っていて、実態が日本だけというのは考えにくい。いずれにせよ、会社内部の情報が非常に少ない会社なのだ。

 今回の家宅捜索は、いずれアメリカ本社まで含め会社の全容を解明したいという警察の思惑があるだろう。しかしそれには、ネバダ州の法律にのっとり、現地の警察の協力も必要となる。かなり長期的な捜索になるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)

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