固定残業代導入の求人9割が不適切記載 ブラック企業の可能性も 

2014年10月1日 15:42

 ハローワークに寄せられている求人のうち、「固定残業代」を導入している企業の約90%が不適切な記載をしていることが分かった。今年6月にNPOや弁護士らによる「ブラック企業対策プロジェクト」がハローワークのインターネットサービスを通して調査を行ったところ、固定残業代制度を設けている全国の求人200件のうち89.5%に相当する179件で、残業に関する賃金や時間が明確に記載されていなかった。

 固定残業代とは、残業代を事前に固定している賃金制度を指す。一般的には残業時間に応じて残業代が算出されるが、固定残業代の場合どれだけ残業しても、時間に関係なくあらかじめ決められた残業代しか支払われない。固定残業代制度は法律で認められているものではなく、企業側が独自の判断で行っているものである。条件によってはさらに酷い労働環境を強いるものも。

 たとえば固定残業代を支給する前提として「一カ月当たりの時間外労働が80時間を超えた場合に限る」と定め、80時間を切った場合には残業手当そのものが支給されない。「固定」残業代とは名ばかりの劣悪な労働を強いられる可能性が高く、ブラック企業対策プロジェクトは注意を呼び掛けている。

 固定残業代制度をとる場合、求人票などには残業手当が何時間分の労働にあたるのかを明記する必要があるのだが、今回の調査で多くの企業がそれを怠っていたということが明らかとなった。さらに、固定残業代を導入していることさえも記載せずに「基本給~万円」とだけ記し、人材を集めるために給与を高く見せかけ、契約時になって初めて固定残業代が含まれていることを明かすというケースもある。

 ブラック企業対策プロジェクトは、固定残業代制度が長時間労働の温床となり残業代不払いや過労死も引き起こしかねないとして、厚生労働省に実態を調査するよう求めている。また「求人広告や説明会の内容が毎回変化する」「短期間で管理職になるよう求めてくる」などの特徴がある会社は不当労働を強いるブラック企業の可能性があるとして、就職希望者に注意を呼び掛けている。(編集担当:久保田雄城)

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