外国人観光客向け免税ビジネス株は「地方創生」関連の露払い役として国内投資家も「おもてなし」高=浅妻昭治

2014年9月29日 11:25

<マーケットセンサー>

  きょう29日に召集された臨時国会での安倍改造内閣の重点政策といえば、所信表明演説で強調するとすでに伝えられている「女性が輝く社会実現」と「地方創生」である。女性の活躍推進策については、安倍首相が、わざわざ米国ニューヨークの国連総会にまで出張って夫唱婦随で新経済成長戦略になることを大々的にアピールし、地方創生についても、来月10月26日投開票の福島県知事選挙、11月16日投開票の沖縄県知事選挙、さらに来春の統一地方選挙での必勝を期して力が入ることになる。

  臨時国会での議論の活発化につれ、女性活躍推進策に関しては子育て支援関連株や女性管理職登用に積極的な「なでしこ銘柄」などへ買いが拡大されることが見込まれる。また地方創生では、これからどのような活性化策が打ち出されるか、安倍首相の次期後継者として呼び声の高い石破茂地方創生相のお手並み拝見として関連株模索が続くはずだ。

  しかし、この2つの重点政策だけで相場全般をさらに押し上げると想定するにはやや無理がある。やはり一段の円安に伴う企業業績の上方修正、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革、さらには日銀の追加金融緩和策などの合わせ技、力技があってはじめてイスラム国やウクライナの地政学リスク懸念などをカバーし、市場参加者の市場信頼性が高まる。臨時国会中の株高が実現すれば、先行きの景気不安、デフレマインドも大きく後退し、臨時国会閉会後に政治決断する安倍首相の来年10月の消費税再増税も、スムーズに運ぼうというものである。いわば安倍首相が所信表明演説で言及する2つの重点政策は、10月相場の露払い役として位置付けられるだろう。

  となると、この2つの重点政策の関連株が、順調な滑り出しをみせられるかが重要になる。そこで注目したいのが、地方創生政策にも深くかかわる免税ジジネス関連株である。10月1日から外国人観光客が購入に際して消費税を免税される対象商品が拡大され、従来のブランド品や家電製品などの加えて食品類、飲料類、薬品類、化粧品類、電池などの消耗品類まで広がることになり、これに呼応して市中の免税店、免税ショップが活発に開設、地方活性化につながるとされているからだ。国別で最大の外国人観光客となる中国が、10月1日から大型連休の国慶節入りとなることも相乗、外国人観光客とともに国内投資家も「おもてなし」する新たなテーマ株に急浮上、先取り高する展開を強めることが想定される。

  この免税ビジネス関連で、すでに前週末26日に急動意を示した銘柄があった。松屋 <8237> である。同社は、今年9月17日に銀座店の「免税コーナー」を3階から地下1階の食品売り場に移設することを発表、この新コーナーが、9月24日のオープンされたことに呼応して株価も年初来高値追いとなった。

  訪日外国人観光客が、昨年2013年に過去最高の1036万人となり、これをさらに2020年までに2000万人と倍増させるアクション・プログラムを推進中の国土交通省観光庁も、この改正消費税免税制度を利用した免税店の拡大、外国人観光客の誘客についてキャンペーン、ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)などと全国各地で合同説明会を実施してきた。同説明会の資料によれば、昨年2013年の免税店店舗数は4622店舗、訪日外国人客の買い物消費額は4632億円で、このうち免税売り上げは1000億円~1500億円、さらに百貨店の免税売り上げは384億円にとどまったとした。これが、免税対象品目の拡大で、オランダで売り上げが30%アップしたことを引き合いに200億円~300億円、免税店の増加や買い物利用率アップで100億円~150億円、合計で300~450億円増加する効果を試算した。

  この免税ビジネス関連株は、やはり今臨時国会でまたまた議員立法を目指しているカジノ法案と並んで地方創生関連の露払い役セクターとなる可能性があり、「第2の松屋」、「第3の松屋」の続出を期待してアプローチしてみても面白そうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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