核ゴミの保管施設 再稼働の条件に規定せよ
2014年9月27日 09:16
今週、日本学術会議が注目すべき報告書を公表した。原発から生じる高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」を、最終処分の前に「原発ごとに保管施設を設け」、30年間暫定保管することとし、「その施設は電力会社が責任をもって設置すること」としている。
非常に公共性の高い企業とはいえ、電力会社も営利企業であり、かつ、地域における独占企業状態が実情の中で、今も労働賃金ひとつみても全産業平均値を大幅に上回っていることなどを考えれば、核ゴミを排出する営利企業の社会的責任として、これを概念上、産業廃棄物と位置づけ、処理責任を電力会社に持たせることは当然の話といわなければならない。
国策としての原子力エネルギー政策の中で、電力会社の負担軽減などもからみ、原発稼働で排出され続ける核のゴミ処理問題は最終処分場も確保できないまま、最大の問題を未来に先送りにしてきた。
これまでの核ゴミの処理だけでも大変な中で、原発が再稼働されれば、さらに、核ゴミは増え続け、未来世代に大きな問題を積み増ししていくことになる。日本学術会議が「暫定保管施設」建設を電力各社に設けること提起した意味は大きい。
そして、原発再稼働には、再稼働によって新たに生み出されてしまう核のゴミを暫定的にでも保管する施設を設置する場所を電力会社が確保し、何年以内に完成させるかが明確に示されて初めて「再稼働」のひとつの条件をクリアすることになるという規定が設けられるべきだろう。臨時国会では原発再稼働の条件にこの点の論戦を期待したい。
さらに、九州電力川内原発について、最近、菅直人元総理が九州電力の姿勢を問題視していることにも注目したい。それは「再生可能エネルギーによる発電量の増大に送電設備が間に合わず、安定供給に支障が出る」との理由で「九州電力が再生可能エネルギーの買い取りを中断する」ことへの問題提起だ。
菅元総理は「再生可能エネルギーの送電設備整備を急げば必要な電力が供給できるのに、それをしないで原発を動かそうというのは原発依存からの脱却を望む大多数の国民の意思に反する態度」と批判。「地域独占だからこんな理不尽なことができるので、自由競争になれば九電は不買運動の対象になるだろう」としている。関係閣僚の受け止めはどうなのか。対応を注視していきたいと思う。(編集担当:森高龍二)