【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テラは8月直近安値から反発して強基調へ転換
2014年9月26日 09:01
バイオベンチャーのテラ <2191> (JQS)の株価は、8月8日の直近安値1305円から反発して9月16日の1845円まで上伸した。その後は利益確定売りで9月24日の1572円まで反落したが、自律調整の範囲だろう。強基調へ転換の動きを強めており、中期成長力を評価して出直り展開だろう。
東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、細胞医療事業(樹状細胞ワクチン「バクセル」を中心とした独自開発のがん治療技術を契約医療機関に提供)を主力として、医薬品事業(樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動)、および医療支援事業(研究機関・医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービス、細胞培養関連装置の販売、治験支援サービス)を展開している。
細胞医療事業は症例数に応じた収入が収益柱で、14年6月末時点で契約医療機関数は全国34カ所、契約医療機関における累計症例数は約8250症例に達している。
成長に向けたM&A・アライアンス戦略も加速している。13年4月iPS細胞による再生医療実用化を目指すヘリオスに出資、13年5月がん新薬を中心とした治験支援事業に参入するため子会社タイタンを設立、13年7月アンジェスMG <4563> と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発基本契約を締結、13年12月iPS細胞を利用したがん免疫細胞療法の開発に向けてヘリオスと業務提携した。
さらに14年1月樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得を目指して子会社テラファーマを設立、14年2月ゲノム診断支援事業に向けてゲノム解析ソフトウェア開発のジナリスと合弁子会社ジェノサイファーを設立、14年4月組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオに出資して資本業務提携、14年8月少額短期保険業者のミニンシュラーを子会社化(14年12月1日付で商号をテラ少額短期保険に変更予定)して保険事業に参入した。
なお矢崎雄一郎代表取締役社長が執筆した『免疫力をあなどるな!~健康な身体は「ボス細胞」でつくられる~』が9月12日、サンマーク出版から発売された。本書では樹状細胞を「ボス細胞」と呼び、その重要性について説明している。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは8月1日に減額修正した。売上高は前期比32.5%増の20億40百万円だが、営業利益は3億16百万円の赤字(前期は23百万円の黒字)、経常利益は3億51百万円の赤字(同24百万円の赤字)、純利益は3億24百万円の赤字(同58百万円の赤字)としている。
第2四半期累計(1月~6月)連結業績(8月1日に減額修正)は前年同期比19.2%増収だったが、樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動が本格化して経費が増加したため、営業利益、経常利益、純利益とも赤字となり期初計画を下回った。
通期ベースでも、医療支援事業は細胞培養関連装置の大型案件の新規受注が寄与するが、細胞医療事業の症例数伸び悩み、樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた経費増加、新規事業立ち上げ費用などが影響して各利益は赤字の見通しだ。ただし樹状細胞ワクチン「バクセル」薬事承認取得に向けた開発を加速させており、中期成長に対する期待感が高まる。
株価の動きを見ると、8月8日の直近安値1305円から反発して9月16日の1845円まで上伸した。その後は利益確定売りで9月24日の1572円まで反落したが、自律調整の範囲だろう。9月25日の終値は1579円だった。週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、5月安値978円をボトムとして強基調へ転換の動きを強めている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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