労働経済白書から読み解く非正規雇用の実態とは? 

2014年9月25日 22:43

 厚生労働省が発表した2014年版の労働経済白書によると、非正規社員から社員になった人の割合が25~34歳で最多であることが分かった。同白書によると、25~34歳で非正規社員から正社員になった割合は34.9%であるのに対し、35~44歳では22.8%、45~55歳で17.8%と低下していく。また、非正規社員の内、いわゆる不本意非正規と呼ばれる正社員として働ける会社がなかったからとする人は、およそ20%存在した。非正規労働者のうち、正社員になりたい人の割合は上昇傾向にある。

 1982年から2012年にかけて、正規雇用労働者の割合は89.8%から72.6%に減少していくが、非正規雇用の割合は上昇した。契約が1年以上の非正規雇用で3.8%から15.9%となり、契約が1年未満だと6.5%から11.5%へ上昇している。非正規雇用労働者が増加する一方で、正規雇用労働者は減少傾向で推移している実態が浮き彫りとなった。

 また、同白書には興味深い分析結果がある。03年から13年にかけて、男性は正規雇用労働者の割合が低下しているが、逆に女性の正規雇用の割合は高まっているのだ。25~34歳の層に関しては特に顕著で、減少した男性正規社員分を女性の正規社員の増加で補っているという現象を読み解くことができる。ちなみに女性の正規雇用の割合は各年齢層で高い数字となっており、この10年ほどで女性の社会進出が進んだことを物語っている。

 最後に同調査では、年収別の自己啓発の実施割合を調査した結果がある。それによると、自己啓発を行っている人の方が行わなかった人より高い年収を得ている者が多いことが分かった。経済的な余裕も関係してくるのだろうが、年収の高い層の転職希望者で自己啓発の実施割合が高くなる傾向があるのだ。

 現在、景気回復の影響を受け雇用情勢の数字が回復傾向にある。ただ新卒者が初職で非正規雇用になると正規になれず非正規雇用に留まることが多くなるなど、雇用形態の固定化も起こっている。不本意な非正規雇用を救済する労働市場作りが必要だ。(編集担当:久保田雄城)

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