人材流出の課題 転職・退職理由の多くは正当な評価がされないこと

2014年9月25日 10:34

 人事関連システムや会社運用に関する支援を行う会社「あしたのチーム」が、転職や退職の経験者に対してアンケートを実施したところ、約半数の割合で給与や昇給制度の不満を理由に挙げていることがわかった。調査は今年6月26日~7月11日にインターネットを用いて行われ、転職・退職を経験した1,560人の回答に基づいて集計された。

 転職・退職した理由を尋ねる質問には、個別事情により理由を特定できない「その他」が627人で最も多かったものの、「人間関係に不満」346人、「仕事内容に不満」305人、「給与に不満」258人、「正当な評価がされていない」178人、「社風や風土が合わない」137人、「待遇(福利厚生)に不満がある」114人、「キャリア形成のため」74人という順の結果となった。

 退職理由について「給与」「評価」「待遇」の3項目を選んだ人のうち、具体的な不満を感じた点を問う質問には、「自分の実績やがんばりが給与に反映されていない」という回答が最も多く41%を占めた。次に多かったのが「昇給、昇格基準がわからない」で18%、「明確な目標がわからない(ノルマが厳しい)」が9%、「数字でしか評価されない」8%、「理想のキャリアアップを実現できない」6%、「上司に相談できる機会がない」が5%となった。

 自分なりに一生懸命仕事に取り組んでいた社員が、会社から正当に評価されていないと感じることにより離職を考えることとなってしまうのは、企業にとっても損失である。人手不足によって求人数も増えている中、給与や労働環境などについてより条件の良い所へ移ろうとする人が増加していくことも考えられる。少子化により今後ますます人材確保が困難になってくることも予想され、優秀な人材を流出させないためにも、企業は社員が納得する評価制度を取り入れることも考えなければならないのかもしれない。

 あしたのチームは営業成績などの目標値を設置するだけの成果主義だけではなく、コンピテシーを有効活用することを推奨している。コンピテシーとは高い成果を上げている社員の行動特性を分析し、それをモデルにどんな環境の中で何をどのように実行していくかという「行動目標」を打ちだすことを指す。仕事に対する意欲ややりがいを引き出す総合的な人事評価制度により、優秀な人材が育ち、国際競争にも耐えうる企業へと成長していくことができるのではないか。(編集担当:久保田雄城)

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