百貨店売上高、5カ月連続マイナス、都市と地方の格差が鮮明
2014年9月22日 10:23
日本百貨店協会が19日、公表した8月の百貨店売上高は4272億円あまりで、前年同月比マイナス0.3%だった。売上高が前年を下回るのは5ヶ月連続で、当初の「夏には消費増税の影響が薄れ、売上高がプラスに転じる」との予測は外れている。
8月は上旬に2度も台風が上陸するなど、天候不順で客足が伸び悩んだ。一方、8月下旬は気温が低下したことや、販促テコ入れの効果もあり、秋物衣料を中心に好調だった。前半の不振を後半が補う形で、マイナス幅は前月から2.2ポイント改善。最終的には前年実績に迫るレベルまで回復した。特に大都市圏の復調は明らかで、回復幅の大きい順に、大阪(前年同月比プラス2.5%)、福岡(同2.4%)、東京(同1.3%)、横浜(同0.8%)、神戸(同0.5%)などとなっている。全国10都市の合計は、消費増税後初めて前年同月比プラスに転じた。
一方、地方は依然として厳しい状態が続く。10都市以外の百貨店は、前年同月比マイナス1.9%。前月のマイナス4.5%からは3ポイント改善したものの、消費者の財布の紐は固い。
商品別でみると、7月は主要5品目すべてが前年割れとなったが、8月はブランドバッグなど「身の回り品」がプラス1.6%、「化粧品」はプラス4.5%と健闘した。また、高級時計の販促フェアを展開したことから、「雑貨」もプラス0.8%となった。主力の衣料品は先月、天候不順でセールが盛り上がらず、マイナス4.5%と低迷したが、8月は秋物衣料が好調。減少幅はマイナス1.2%まで縮小した。
訪日外国人客の消費も、円安や東南アジアのビザ要件緩和の恩恵を受け、引き続き伸びている。客数、売上高ともに19ヶ月連続のプラスで、売上高は8月として過去最高の47億円を記録した。大都市では、訪日外国人の消費が売上を下支えしている。9月上旬までの、東京地区の売上高は、前年比3%強のプラスで推移。秋物衣料の売れ行きが好調なことから、増税後初めてプラスとなる可能性も出てきた。(編集担当:北条かや)