成立なるか? 次回国会で派遣法改正案の審議の可能性

2014年9月21日 19:58

 次回の国会で労働者派遣法の改正案が審議される可能性が高まった。改正案は最長3年となっている派遣期間の上限を取り払い、企業が派遣を活用できる職種や期間を広げる内容となっている。政府が今年3月に国会に提出した際は、誤表記があり十分な審議が行われないまま廃案となっていた。

 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」、通称派遣法は1985年に制定され、これまで何度か大規模な改正を経ている。その中でも一番大きな改正は2004年の改正だ。今まで派遣はソフトウェア開発や政府の定める専門業務に限られていた。それが04年に専門26業種については派遣期限の定めがなくなり、それ以外の業務では派遣期間が最長3年までと改正された。その結果、派遣社員は企業の雇用の調整弁として活用が拡大。しかし、製造業を中心とした派遣切りや偽装請負が社会問題となり、派遣労働者の保護を求める声が高まった。

 その後12年に、日雇い派遣の原則禁止や派遣社員の無期雇用化など、派遣労働者の保護を主眼とする法律へ改正。名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と変更された。

 時代背景に合わせ改正を重ねてきた派遣法。それでは次回の改正で何が変わるのだろうか。まず大きな変更点として挙げられるのが法律の簡素化だ。複雑になっていた法律を分かりやすくすることで、派遣先・派遣会社・派遣労働者の3者にとって活用しやすい制度にする狙いがある。

 まず、これまで届出制の特定労働者派遣事業と許可制の一般労働者派遣事業で分かれていた区分を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制に統一。これにより派遣労働者の期間の上限も廃止される。派遣期間の上限を一人3年とし、これまで期限の定めがなかった専門26業種に関しても同様に3年までの派遣期間となる。また派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結べば、派遣先でいつまでも働き続けることも可能となり、派遣労働者の雇用の安定化に繋がる狙いもある。派遣事業者が派遣労働者のキャリア形成やスキルアップの機会などの責任を負う必要が生まれ、事業者の選別が行われる可能性もあるだろう。

 厚生労働省の12年の調査によると派遣労働者が就業している事業所の割合は10.8%で、1000人以上の規模の事業所では80.5%となっている。派遣労働者を雇用の調整弁としてではなく、必要な戦力とみなして活用することが求められている。(編集担当:久保田雄城)

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