ソニー、今期2300億円の赤字見通し 中国勢との競争激化でスマホ不振
2014年9月18日 14:20
ソニーは17日、2014年度連結業績見通しを下方修正した。純損益は7月時点の500億円の赤字から、2,300億円の赤字に引き下げた。販売不振のスマートフォン事業で1,800億円を営業損失として計上することが要因。
同社によると、スマホ事業は中国系メーカーとの競争激化などから販売台数見通しを大幅に引き下げた。この中期計画の見直しによって以前の計画より利益額が減少する見込みとなり、同事業の資産価値が減少したため、同事業の営業権全額の減損約1,800億円を営業損失として計上する見込みになったという。
記者会見に出席した平井一夫社長は、特に新興国で普及価格帯の商品の販売が想定と大きく異なっていたと説明し、「競争環境の激化していく中で、素早く対応するだけの体力、オペレーションができていたかは反省する点」と述べた。
従来の中期計画では、売上高の大幅な拡大を目指していたが、新たな計画では、事業リスクや収益変動制を低下させ、安定的な収益計上を見込めることを重視した戦略に転換する。一方、ゲーム事業、イメージング事業と並ぶ中核事業という位置付けは変えず、長期的にはスマホの次世代のモバイルコミュニケーションの領域の土台とすることも見据えて事業展開していくという。
地域展開については、高い収益性が期待できる国・地域に経営資源を集中。商品ラインアップについても高い付加価値を提供できるハイエンド機に集中し、採算性が厳しい普及価格帯のラインアップは絞り込んで収益性の改善を図っていく。
さらに、構造改革として、2014年度中に全従業員の約15%にあたる1,000人を削減する方針。
業績見通しの下方修正や財務状況などを踏まえて、2014年度の中間配当と期末配当は1958年の上場以来初めて無配とする。
平井社長は、「株主の皆様には大変申し訳なく、この状況を社長として大変重く受け止めている」と謝意を示し、「今期に構造改革をやりきり、来期の業績回復を実現することで株主の皆様の期待に応える」と語った。