女性閣僚5人から見えた 安倍首相の考える「女性の輝ける社会」は古い?
2014年9月17日 15:31
9月3日に第2次安倍改造内閣が発足した。野党がバラバラで大きな抵抗勢力もないまま、一気に盤石の体制を築こうという勢いだ。安定感を重視したためか内閣改造自体には大きな変化は無かったが、そんな中でも女性閣僚を5人起用した点は大きなトピックとなった。
顔ぶれは、高市早苗総務大臣、松島みどり法務大臣、小渕優子経済産業大臣、山谷えり子国家公安委員長兼拉致担当大臣、有村治子女性活躍担当大臣の5人。2001年の第1次小泉内閣に並ぶ歴代最多女性人数となった。大臣の他官房副長官などを含めると内閣は23人。その中の20%強が女性となった訳だが、歴代最多と言いつつも全体の割合を見ると、まだまだその数は決して多いとは言えないだろう。今後どうなっていくかは、今回の内閣での女性閣僚たちの活躍にもかかっている。
また、5人の顔ぶれを見ても、手放しで「女性閣僚が増えたので、女性の声が広く届けられるのではないか」と喜べるものではない。例えば、新設された女性活躍担当相の有村治子大臣は、夫婦別姓制度に反対の立場をとっていたこともあり、より開かれた家族のあり方よりも伝統的な家庭のモデルにこだわりが強いように見える。『女性活躍担当相』という名前、2児の母親で子育てと議員活動を両立といった経歴がクローズアップされているが、一方で思想的に本当に適役なのか疑問視する人も多いようだ。
女性閣僚だけを見ても、全体的に保守寄りの人選で、安倍首相の経済重視・右傾化に呼応する人物を選んだことが伺える。そこからは安倍首相が掲げる女性の活躍できる社会、いわゆる『ウィメノミクス』が、どういったものを目指しているのかも読み取れるのではないだろうか。
安倍首相の今回の人選は、これまでの男性が中心となった社会システム、経済システムの中で、女性の活躍できる場所を増やそうという古い考え方に囚われているように見える。働き方や家族間の関係性が多様化してきたことに合わせ、男女問わず活躍できる場を設けようという意識は薄いのではないだろうか。これまでの男性型の社会ありきでの女性登用では、結局一部の「あらかじめ男性に守られた女性」しか輝けないだろう。そもそもの考え方が古い父性社会的だ。
自民党内でも安倍首相の考えに部分的に異を唱える議員もいる。安倍首相には、そうした女性議員を閣僚に抜擢するくらいの懐の深さを見せてほしかった。そうした女性起用こそ、長い目で見れば、より開かれた性差に囚われない社会につながるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)