地方創生大臣が新設 地方の復活に大鉈を振るえるか

2014年9月13日 19:38

 第2次安倍内閣が発足してから既に600日以上が経った。安倍首相が掲げた経済政策「アベノミクス」―この言葉はもう日常用語化しているといっても過言ではないが、その効果はと言えば必ずしも私たちの日常まで届いているとは言えない。

 9月2日に発表された厚生労働省の毎月勤労統計の7月分速報によると、大都市圏と地方の勤労者の間の格差が大きく拡大し、実質賃金が4~5%下がっている県が多く見られた。賃金がこれ以上下がることになれば、これまでも東京をはじめとした大都市圏への仕事や人材の流出に悩まされてきた地方経済はさらなる打撃を受けるだろう。

 大都市圏や大企業ばかりでなく一般の人々、特に地方に住む人々の生活にまでアベノミクスの効果を波及させるためにはどうすれば良いか、第2次安倍改造内閣で「地方創生大臣」に就任した石破茂氏が取り組まなければならない課題は山積している。安倍首相はこの地方創生を改造内閣の大きな課題として挙げ、自民党総裁選で一般党員の票を最も多く集め地方でも人気のある石破氏をその重要課題に取り組む閣僚に任命した。組閣当日の閣議では早速地方活性化に取り組む「まち・ひと・しごと創生本部」の設置が決まり、地方創生に向けた動きが期待される。

 これまで人口減少や地方の活性化といった「地方創生」に関する事業は、各省庁がバラバラに予算請求を行い調整がなされていなかった。2015年度の概算要求でも「地方創生枠」1兆円が用意されると、各省庁が予算を奪い合うかのように次々と地方創生事業を盛り込んだ。その中身はといえば在来の事業の焼きまわしのようなものばかりだ。例えば、国土交通省は「地方の高速道路整備」に5,585億円、厚生労働省は雇用創出を目指す「地域しごと創生プラン」に366億円、総務省は地域資源を利用した雇用創出計画「地域の元気創造プラン」に74.4億円を計上しているが、どれもこれまでの事業の看板のすげかえと言われても反論はできない内容だ。

 創生本部発足に先立つ先月27日、第1次安倍政権で総務大臣を務めた増田寛也氏は、縦割り行政の撤廃を首相に提言した。地方創生大臣と「まち・ひと・しごと創生本部」の創設は、縦割り行政を打破するという安倍首相の意志と期待したい。石破氏はテレビ出演で「まず地方に働き場所をどう作るか」「ネタはいっぱいある」と語っている。在来の発想にとらわれず、これまで日本を支えてきた地方の復活のために大鉈を振るえるか。石破氏の手腕が問われている。(編集担当:久保田雄城)

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