視覚野の神経回路発達には、生後の正常な視覚体験が必要であることが明らかに
2014年9月12日 14:27
生理学研究所の石川理子研究員・吉村由美子教授らによる研究グループは、脳にある視覚野の神経回路発達には、生後の正常な視覚体験が必要であることを明らかにした。
脳の機能は生後の体験や学習によって発達することが知られており、生後の発達期に様々な視覚体験をすることが物の認知・識別能力を高める。しかし、これまでその詳細なメカニズムについては解明されていなかった。
今回の研究では、視覚に関する条件を変えたラットを用いて実験をおこなったところ、暗室で飼育したラットは、生後開眼したばかりの未熟なラットと同様に視覚野の微小神経回路網が形成されていないこと、物の形など意味のある視覚体験を遮断されたラットは、微小神経回路網の発達が阻害されていたことが分かった。
今後は、本研究成果によって脳が担う情報処理機能メカニズムへの理解が進み、脳が健やかに育まれる仕組みを解明にする一助となると期待されている。
なお、この内容は9月10日に「Journal of Neuroscience」オンライン版に掲載された。