生活の質低下し不安や不満が増加 年を取るのが怖い日本の未来

2014年9月11日 14:57

 内閣府が8月23日に発表した「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活について「満足」と回答した人は前年比から0.7ポイント減って70.3%となり、「不満」とする割合は前年比1.4ポイント増加の29%となった。

 日常生活に悩みや不安を感じる人の割合は66.7%。過去に行われた同様の調査の中ではもっとも高い水準にある。複数回答によって理由を尋ねたところ、「老後の生活設計」を挙げた人が最も多く57.9%となり、「自分の健康」49.7%、「家族の健康」41.9%、「今後の収入や資産の見通し」41.0%と続いている。老後に対する不安の高まりは1992年以降もっとも高い割合となり、年金問題や医療費の負担増が今後の生活に不安の影を落としていることが伺える。調査は今年6月19日~7月6日にかけて全国の成人男女1万人を対象に実施され、有効回収率は62.5%となっている。

 昨年と比較して生活が良くなっているかという質問については「同じようなもの」という回答がもっとも多く72.9%を占めたが、「低下している」という回答が前年比4.1ポイント増の20.9%となった。反対に「向上している」という回答は前年比1.1ポイント増の6.0%となった。今年4月に実施された8%の消費税増税による影響や、電気料金の値上げなどで、家計が厳しくなっている世帯は増加しているのかもしれない。

 一方、政府に求めるものとしてもっとも多かったのが「医療、年金など社会保障の整備」で68.6%となった。続いて「景気対策」58.7%、「高齢社会対策」54.9%となり、高齢化にともなう政策の充実を求める声は今後さらに高まっていくことが予測される。年金や医療費を支える意味でも重要となるのが出生率の回復だ。「少子高齢化対策」を求める割合は年々増加傾向にあり、今回では調査開始以来もっとも高い37.5%となった。

 今年4月には70~74歳の高齢者の医療費の窓口負担が10%から20%に引き上げられたばかりだ。3月末までに既に70歳に達している人に関しては、特例措置として1割が据え置かれるが、実質的には高齢者に負担を背負わせる形となる。安心して老後を迎えられない日本。頼りになるのは貯蓄だけなのだろうか。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事