時代の波に乗り切れなかった代ゼミ 少子化で塾業界明暗別れる
2014年9月7日 22:56
東京都渋谷区に本部を置く大手予備校「代々木ゼミナール」が、全国展開している27校のうち約20校を閉鎖する予定であることを明らかにした。閉鎖は来春をめどに計画が進められており、該当する校舎ではそれ以降の生徒の募集を打ち切る方針だ。対象となるのは仙台、高崎、大宮、柏、池袋、立川、横浜、京都、神戸、小倉、熊本など。また美大受験コースとして設置されていた大阪南校や横浜アトリエも閉鎖するとしている。今後はインターネットを活用して授業を低コストで配信する方法などを取り入れることも検討しており、教室を確保して授業を行う形態は小規模に抑えていくという。
代ゼミは1957年に運営が開始され、以来国内最大手予備校としてその名を知らしめてきた。しかし近年、少子化による影響から大学進学の競争率が落ち、予備校に通う受験生の数も減少傾向にある。学習塾業界では生き残りをかけて、独自の対策を練る必要に迫られ、激しくしのぎを削っている。そんな中、業績を伸ばしているのが個別指導を掲げる塾だ。大教室で実施される集団クラス授業方式よりも、少々授業料が高くても生徒を1~3人までに絞った個別指導を支持する保護者は多い。また長引く経済不況の影響から現役合格を目指す層が増え、浪人生に主眼を置いた代ゼミの経営方法は時代にそぐわないのかもしれない。
業界は明暗がくっきり分かれるところとなったようだ。「東進ハイスクール」のナガセ<9733>は生徒数の増加により、2014年3月期において純利益が前期比90%増の30億円となり、過去最高益を更新した。売上高は前期比から6%増加して398億円にのぼる。15年3月期には売上高422億円、純利益32億円を見込んでいる。
淘汰が進む塾業界で、方向転換が遅れた代ゼミは厳しい状況に立たされている。来春の閉鎖に向けて、高校1、2年生には別の進学塾を紹介して対応するとしているが、講師には大規模なリストラが実施されるという。朝日新聞が行った関係者への取材によると、40歳以上の職員約400人の希望退職を募っているということが分かった。関係者からは「来る時が来たか」「今後新しい仕事が得られるか心配だ」という声もあがっており、塾業界全体にも大きな不安を与えそうだ。(編集担当:久保田雄城)