東芝、JR九州の新型車両向け駆動システムを受注
2014年9月3日 12:31
東芝は3日、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)の新型車両向けに駆動システムを受注したと発表した。高効率で、レアアースのジスプロシウムを使用しない主電動機などで構成されており、JRグループの量産型営業車両としては初めての採用になるという。
同社によると、今回の駆動システムは、レアアースのジスプロシウムを一切使用しない永久磁石を採用した全閉型永久磁石同期電動機(全閉PMSM)と4in1VVVFインバータ装置を組み合わせたもの。
JR九州筑肥線の姪浜・唐津間と、唐津線の唐津・西唐津間を運行する新型通勤形電車305系に採用される。新型車両が運行するのは、西唐津から姪浜までの44.8kmの区間で、姪浜から福岡市地下鉄空港線へ乗り入れている。
全閉PMSMは定格効率97%を実現する高効率な主電動機で、一般的に車両に用いられる開放型誘導電動機の定格効率90%と比較して、飛躍的に効率が向上している。また、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンス性も向上している。さらに、永久磁石には、ネオジム磁石と同等の性能を持ち、レアアースの中でも特に希少で、供給リスク・価格高騰リスクのあるジスプロシウムを一切使用しない新開発のサマリウム・コバルト磁石を採用している。
主電動機を駆動する4in1VVVFインバータ装置は、1台の冷却器に対して4つのインバータ回路を配置した4in1インバータユニットを2台搭載することで、8台の全閉PMSMを1台のVVVFインバータ装置で駆動できるシステム。これにより、力行(電力の供給を受けて車両が加速する状態)の消費電力量を削減するとともに、同社独自の制御方法で電力回生ブレーキの負担を増やし、回生電力量を増加させることで車両全体の省エネを実現しているという。