読書ゼロが半数も 本を読む読まないで脳に差が?
2014年9月3日 11:38
全国大学生活協同組合連合会が今年2月に発表した「学生生活実態調査」によると、全国の国公立、私立大の学生8,930人のうち、読書時間がゼロの学生は40.5%にものぼることが分かった。うち文系学生が約34%、理系は約44%となる。2004年から見ると本をまったく読まない学生の割合は過去最高となり、学生の読書離れが進行していることが明らかとなった。
学生の1日の読書時間は平均26.9分。書籍にかける1か月間あたりの費用についても減少し続けており、下宿生は1,820円となっている。アルバイトや試験勉強で忙しく、読書に割く時間が得られないという声もある中、スマホばかり見ている学生が多いという話も耳にする。
近年、パソコンやスマートフォンの通信機器が急速に発達し、余暇には読書よりもネットサーフィンやゲームに時間を費やするという人が増加している。読売新聞社が行った全国世論調査でも、直近の1か月間でまったく本を読まなかったという人は09年から半数を超え続けており、12年で51%、13年では53%にものぼった。また、スマホの利用時間が1日平均30分未満の人において、読書時間が減少したと答えた人は10%だったのに対し、1時間以上では27%にも及び、スマホの利用が読書時間の減少に影響を与えている様子が伺える。
読書は想像力や洞察力、集中力を養うとして、「朝の読書運動」を取り入れる学校も増えている。読書による教育的効果は、アメリカのオックスフォード大マグダレン校の神経科学者、ジョン・スタイン氏も認めるところだ。同氏によると、読書は大脳の働きを活性化させる作用を持つという。MRIで読書中の脳を観察したところ、神経回路を新たに構築する動きを確認。神経回路は記憶や情報処理に関係しているとされている。すなわち、読書によって体験している世界を、実際の動きのように脳が感じ取っているということになるのだ。ゲームやテレビを見ている場合には同じような動きはなく、読書が心を育て感性豊かな人間へと導く効果があるという説には納得させられるものがある。情報は手早くネットで仕入れ、余暇は読書で脳の活性化というのはどうだろうか。(編集担当:久保田雄城)