STAPは現状では確認できない 理研が中間報告

2014年8月29日 15:12

独立行政法人理化学研究所は27日、「STAP現象の検証の中間報告」を発表した。それによると、一般的な実験マウスである C57BL/6 マウス由来の脾臓について論文に記載されているプロトコルに従って検討を行ったが、論文に報告されたような STAP細胞様細胞塊の出現を認めることはできなかったという。

 今後は、11月末迄の期間に限って小保方晴子氏の参画を得て、同氏による手技を第三者により確認する。また、今回の実験で用いた系統とは異なる系統のマウス、脾臓以外の臓器からの細胞を用いて、論文等に記載された各種処理による完全に分化した細胞終末分化細胞)からの多能性細胞誘導現象の有無について3月末迄を目処に確認する方針だ。

 具体的には多能性細胞の誘導の再現性の有無の検証を行った。これは、論文に記載されているプロトコールに従って検討を行い細胞懸濁液の最終pHが5.7 付近になる条件を確定した。また、5~7 日齢の C57BL/6 マウスの遺伝的背景を持つ Oct3/4-GFP トランスジェニックマウスから、脾臓を摘出し、リンパ球分離溶液を用いた簡易分画法により、CD45陽性細胞(核を持つ血液細胞)を濃縮した細胞画分を、遠心分離により回収した。

 脾臓から得られたCD45陽性細胞を多能性細胞の誘導の再現性の有無の検証で定めた条件で論文のプロトコールに従って37℃、25分間で処理し、遠心分離により酸処理液から細胞を回収した。これから得られた細胞を1週間培養した。このとき、細胞増殖因子(FGF2)の培養液への添加の有無、細胞培養基質の条件(接着性ないしは非接着性)、播種細胞密度について検討した。

 これらの過程において、STAP 細胞に特徴的とされる形態の細胞塊の出現ないしは Oct3/4-GFP の蛍光の出現により、誘導の有無を判定した。そして、これまで22 回の実験を行い、多能性細胞の誘導の再現性の有無の検証で定めた pH5.7 近傍の複数の条件で、処理時間も様々に変えて条件の組み合わせを網羅する形で検討を進めた。しかし、いずれの条件下でも、論文に報告されたような細胞塊の出現を認めることはできなかったとしている。

 また、この実験によって、多能性細胞の誘導が確認出来た場合、終末分化した細胞からの誘導であることを、より厳密に確認するためのマウスの導入を実施した。分化細胞特異的 Cre 組み換え酵素発現のためのAlbumin-Cre トランスジェニックマウス、Nkx2.5-Cre トランスジェニックマウスの系統のマウスについて動物施設への導入を完了した。

 これにおいては、Cre組み換え酵素で活性化される Rosa26-loxP-STOP-loxP-H2BEGFP マウスとの交配により、ダブルトランスジェニックマウスを作製し、これらの Albumin-Creでは肝臓(肝実質細胞)、 Nkx2.5-Creでは心臓(心筋細胞)がGFP により標識される事を確認した。(編集担当:慶尾六郎)

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