日立製作所、放射性廃棄物を燃料とする資源再利用型原子炉の開発へ 米国3大学と研究開始

2014年8月28日 20:29

 日立製作所は28日、原子力発電で生ずる放射性廃棄物を燃料としてウラン資源の有効活用を図る、資源再利用型沸騰水型原子炉(RBWR)の開発に向けて、米国の3大学と共同研究を開始したと発表した。放射性廃棄物の中には、放射能の減衰に約10万年の長期間を要する超ウラン元素(TRU)が含まれているが、それを使用済み燃料から分離・精製して、RBWRで燃やすことにより、減衰期間を大幅に短縮することができるとされている。新しい原子炉が実用化されると、資源の有効利用だけでなく、放射性廃棄物の処分負担を大きく軽減することになりそうだ。

 日立製作所が共同研究を始めた米国の3大学は、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ミシガン大学(U・M)、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)の各大学である。日立製作所は現在、日立GEニュークリア・エナジーとRBWRの開発を進めており、米国の各大学と原子炉の性能・安全性評価などを行うとともに、実用化に向けた試験の実施計画などを検討する予定である。

 原子力発電所で使用されたウラン燃料には、人体への有害度の高いTRUが含まれている。そのため、それを分離し、放射能減衰期間の短い他の放射性物質に変換することが内外で課題となっている。

 日立製作所は、課題解決の一つとして、現在の商用炉の沸騰水型原子炉(BWR)の技術をベースに、使用済燃料から分離・精製したTRUを、ウランとともに燃料として用いるRBWRの開発を進めている。RBWRは、TRUを核分裂させる新たな炉心燃料を使用するものの、安全システムやタービンなど炉心以外は、現在のBWRと同じものを使用できる。そのため、従来の蓄積を活かすことができ、TRUを効率よく核分裂できるとされている。

 日立製作所と米国の3大学とは、2007年から2011年にもRBWRの共同研究を行っており、今回はより精度の高い解析手法を用いて評価・研究を進めることにしている。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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