新幹線がアメリカ大陸横断する日も近い? 技術提供に進展

2014年8月26日 16:56

 JR東海<9022>が、アメリカ南部テキサス州のダラス-ヒューストン間約360キロメートルを結ぶ高速鉄道の建設計画に参加し、新幹線技術を提供する予定であることが分かった。「テキサス中央高速鉄道」(TCR)の相談役シーファー元駐日米大使が、共同通信の電話取材に応じた内容によると、公的な事業ではないため民間からの投資が課題となるが「実現可能な事業だ」と述べ、2021年をめどに走行をスタートさせるとしている。計画は「のぞみ」に使用されているN700系を用いて、最高時速約322キロでの走行を予定している。新幹線開通が実現すれば、ダラス-ヒューストン間が1時間半ほどで行き来できるようになる。

 日本の新幹線技術は世界から高く評価されており、政府も成長戦略のひとつとして海外に積極的にアピールを重ねている。特に今、関心を示しているのがアメリカだ。今年4月にも、山梨リニア実験線にケネディ駐日米大使が安倍晋三首相と試乗した。日米両政府はワシントン-ボルティモアの約66キロ間に、リニア技術の導入を計画。日本は技術を無償提供するとしている。ライセンス料が発生しないとなれば利益が出ないという見方もあるが、アメリカや他国へ向けて販路拡大の先行投資でもあり、また車両や部品などをアメリカ側が買い上げることによって、長期的に見れば十分に利益を回収することができるとしている。

 新幹線は他の交通機関と比較しても、最高の安全性を誇る。1964年、東京-大阪間を結ぶ東海道新幹線の開業以来、死亡事故はゼロ。安全運行システムの技術力や、事故予防に向けての丁寧なメンテナンスは日本ならではの特徴かもしれない。線路は毎夜、保線作業が行われ、走行に伴う振動により生じるわずかなズレをミリメートル単位で補正している。

 また新幹線に使用されているネジは、東大阪市の「ハードロック工業」による世界唯一の技術で、決して緩むことがない。発案の元となったのが神社の鳥居だ。日本古来の建築法から、ナットの隙間にクサビを入れる構造を思いつき、振動や衝撃に耐えうるネジが完成したという。日本の技術を生かしたインフラ輸出で、経済成長に期待がかかる。(編集担当:久保田雄城)

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