宗教行事が観光資源に大化け 2015年にフランス・パリで阿波踊り 

2014年8月24日 18:36

 夏のお祭りと言えば、徳島県の阿波踊り。国内だけでなく海外からの人気も高まっている。2013年、観光庁は海外へのプロモーション用映像について、検討会に参加した外国人委員の意見を取り入れて阿波踊りを採用。訪日外国人観光客獲得に向け、日本の観光資源として世界へ発信している。

 阿波踊りはもともと地域の盆踊りが発祥だ。宗教的な行事が娯楽化し、盛大なお祭りへと発展を遂げた。自治体も阿波踊りを観光資源として捉え、全国に向けて情報発信しながら認知度をあげ、積極的な誘致活動に取り組んできた。今や阿波踊りは観光ブランドとして成長し、見物客はのべ136万人以上となっている。徳島市の人口は26万人程度であるのに対し、祭り期間中は一日あたり平均30万人を超える観光客がなだれ込んでいるということになる。

 そんな阿波踊りに魅せられたフランス人ジャーナリストが、レジス・アルノー氏だ。12年11月28日号の「ニューズウィーク」で同氏は、阿波踊りについて「ミュージカルショー」と表し、ブラジル・リオデジャネイロのカーニバルにも匹敵するお祭りだと紹介した。また、日本が誇る天然資源は「人」であり、阿波踊りは「日本人のパワーを証明する格好の機会」として海外展開への意欲を強く見せた。

 そこでアルノー氏はパリで阿波踊りを披露することを発案。日・仏両国の企業に支援を求めながら、パリ行政当局者などと交渉を続けてきた。経費として約6,000万円の協賛金が集まり、15年5月の二日間、パリ中心部にあるボージュ広場での実施が決定した。踊り手としては、徳島県と東京都杉並区高円寺の阿波踊り愛好者約100人の参加が予定されている。

 開催地となったボージュ広場は、1600年代に作られ、王族や貴族文化が栄えた場所だ。現在も優雅な雰囲気が漂い、レストランやアトリエが立ち並ぶシックで落ち着いた公園として市民に親しまれている。アルノー氏の計画では、この場所で阿波踊りを忠実に再現するために屋台なども設置し、本場日本の空気をフランスに伝えたいとしている。「踊るあほうに見るあほう、同じあほなら踊らにゃ損々」。ボージュ広場が阿波踊りの熱気で包まれる日が待ち遠しい。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事