教師の悲鳴が聞こえるか!? 日本の教員の勤務時間は海外平均の1.4倍
2014年8月24日 16:27
OECD加盟国を対象に行われた教員環境に関する国際調査によると、日本の教員の勤務時間は参加国中最も長い54時間で、参加国平均の38時間に対して約1.4倍に上ることがわかった。同時に、授業に使った時間は平均よりも短かったのに対し、課外活動や事務作業に費やす時間が海外と比べて非常に長いことも判明。本来であれば最も大切であるはずの、教育そのものに集中しにくい教員の過酷な状況が浮き彫りとなった。
調査は国際教員指導環境調査(TALIS)と呼ばれる、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた、OECDの国際調査のこと。オーストラリアやブラジル、フランス、イタリア、韓国、オランダ、アメリカなどを始めとするOECD加盟国等34か国・地域が参加している。2008年に第1回目を実施し、今回は2回目。日本は今回初めて参加した。
調査項目は▽校長のリーダーシップ▽職能開発▽教員への評価とフィードバック▽指導実践と教員の信念、学級環境▽教員の自己効力感と仕事への満足度――など。
調査結果から、教員の1週間当たり勤務時間は日本では53.9時間と参加国平均の38.3時間を大きく上回り、参加国中最長であることがわかった。このうち、授業に使った時間は平均より1.6時間下回っているのに対して、課外活動の指導に使った時間は7.7時間と平均の2.1時間と比べて3倍以上の時間が費やされていた。
このほか「一般的事務業務」や「学校内外で個人で行う授業の計画や準備」に費やされる時間が平均より高く、日本の教員は海外と比べて授業そのものよりも、事務作業や課外活動の負担が重くのしかかっていることがわかった。
その他、他国との比較で日本が際立った特徴があるものに、校長のリーダーシップが挙げられる。教員における女性の割合は平均が68%で日本は39%であり、もともと女性の比率が低い。それに加えて女性の校長の割合は平均49.4%に対して、日本ではわずか6%に留まり、参加国中最低の割合となった。
一方で50歳代以上の校長の割合は参加国中もっとも高く、日本は98.4%に対して平均は62.5%だった。日本では当たり前すぎる「校長」=「年配の男性」という図式は、日本のみにみられる現象であることも分かった。
近年、教育現場での教員負担の大きさが問題視されることが多いが、調査結果からはそのことが深刻な事態であることがうかがえる。勤務時間の長さもさることながら、平均値と比べると授業時間よりも課外活動や事務業務が長いというのは、本末転倒としかいいようがない。病院では医師の負担を軽減するべくクラーク(事務補助者)の導入を進めているケースもあるが、教育においてもすべてを教員の負担に帰することなく、効率的に業務分担を進めることが、子供達のためにもつながるのではないだろうか。(編集担当:横井楓)