三菱重工、ブラジル・サンパウロ地下鉄の全自動無人運転鉄道システムを建設
2014年8月18日 16:48
三菱重工業は18日、ブラジル・サンパウロ地下鉄6号線の建設・運営事業体であるムーブ・サンパウロ社から全自動無人運転の鉄道システム建設プロジェクトを受注したと発表した。中南米向け鉄道システムの受注は初めてで、工事完了は2020年の予定という。
同社によると、今回のプロジェクトは、土木・建築工事とシステム一括を含むブラジル初の本格的鉄道PPP(Public Private Partnership)方式により整備され、同国の有力コングロマリットであるオーデブレヒト、ケイロスガルバオン、UTCの各社が組成する事業体であるムーブ・サンパウロ社が、サンパウロ州政府との契約により25年間の地下鉄建設・運営の事業権を取得している。
三菱重工は、土木・建築工事を担当する現地ゼネコン連合とコンソーシアムを組み、全自動無人運転鉄道システムの信号、通信、電力、架線、車両検修設備、プラットフォームドア、トンネルベンチレーションの各システムの設計・調達・据付・試運転を担当する。
同社は、台湾新幹線やドバイメトロなどの大型鉄道プロジェクトの建設・納入実績を持ち、全自動無人運転車両システム(Automated People Mover System:APMシステム)では、日本国内のほか、米国、香港、シンガポール、韓国、ドバイに納入実績があり、いずれも安定した稼働率で運行されている。今回の受注に際しては、こうした豊富な納入実績とシステムの信頼性が高く評価されたという。
ブラジルでは、公共交通インフラの整備が不十分で交通渋滞が大きな社会問題となっており、サンパウロなどの主要都市で同様の鉄道システム建設が計画されている。同社は今回の受注を弾みに、ブラジルをはじめとした南米市場で、交通インフラ事業のさらなる受注拡大に力を注いでいくとしている。
今回のプロジェクトで建設されるサンパウロ地下鉄6号線は、サンパウロ市中心部から北西部の人口密集地に延びる全長15km、15駅の路線で、1日あたり63万人の利用が見込まれている。