「下げた株ほど良く戻る」なら揃ってストップ安したミクシィ、サイバダインへ再アタックも一考余地=浅妻昭治

2014年8月11日 09:34

<マーケットセンサー>

  倍返しどころか6倍返しだ。前週末8日の日経平均株価の454円安である。市場からは、恨み節も聞こえてきた。前日7日の後場取引時間中にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革で日本株への配分増額が観測報道され、なまじ安値から72円も戻して引けてしまったから、戻し幅の6倍も下げる暴落に拍車を掛けたというのである。

  最後の砦だったGPIF関連材料もケシ飛んでしまうようでは、もう投げ売りして市場を撤退する以外にないと諦めざるを得ないとみているのである。この暴落は、今年3月14日の488円以来の大幅下げで、このときは1万4203円まで調整しており、今回は、1万4753円とまだ500円幅ののりしろがあるものの、先行きは予断を許さない。3月の大暴落は、クリミア自治共和国の住民投票を巡るウクライナ情勢の緊迫化が直接の引き金になったが、今回は、このウクライナ情勢とともにイラクへの米国の空爆再開など新たな地政学的リスクが重なっており、為替相場は、「遠い戦争は買い」とばかり円高にふれるなど不透明感を強めているのである。

  もともと市場が期待したのは、この7月末からスタートした3月期決算会社の4~6月期(第1四半期、1Q)業績の発表で、これをキッカケに業績相場が発進することをベスト・シナリオとしていた。確かに1Q決算発表では、早くも業績を上方修正する銘柄も出て個別に好感高したケースも散見はされたが、これも為替相場の先行きが不透明化するようでは空中分解し兼ねない。さらに13日発表予定の4~6月期のGDP(国内総生産)で市場予想を下回る景気減速も懸念されている。

  勢い市場では、株価対策の「真水」頼み、あの懐かしいPKO(株価維持政策)期待となる。大手経済紙がしつこく報道するGPIFの運用改革や公的マネーの市場介入に加え、日銀の資産買い入れ枠の増額、NISA(少額投資非課税制度)の上限拡大など指折り数えているが、第1弾のGPIF改革報道がわずか72円高で終わり、日銀の資産買い入れも、日経平均株価が454円安となった8日に終了した金融政策決定会合後の記者会見で、黒田東彦総裁が、いつものように紋切り型にコメントしているようでは、過大評価を慎んだ方が無難なようである。

  こうなると市場は、自助努力で何とかしなくてはならなくなる。前週末8日の米国市場は、NYダウが、約3カ月ぶりの安値水準まで落ち込んだことで短期的な戻りを期待する買い物が入って185ドル安と反発したが、これを見習って元気を出す以外にはないわけだ。東京市場だって、3月の暴落後は、3月期末の配当・優待権利取りや機関投資家の「お化粧買い」などキッカケに戻し、暴落幅をほぼ埋めたのである。

  問題は、この東京市場の自律反発がどの時点で起こるか、自律反発するとしてどの銘柄をターゲットにすれば、好パフォーマンスを期待できるかである。これは、暴落相場後の投資セオリーの「下げた株ほど良く戻り」とする「リターン・リバーサル」を実践するのが早道となるはずだ。となると注目して置くのは、新興市場株のミクシィ <2121> (東マ)とCYBERDYNE(サイバダイン) <7779> (東マ)の2銘柄となる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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