選挙をめぐる公正さはどこにいったのか

2014年8月8日 12:18

 高松市は、公職選挙法違反で逮捕された市職員と元職員、あわせて3人が起訴され、事務局職員3人が在宅起訴されたことを発表した。昨年7月の参院選を巡って高松市選管が自民党の衛藤議員が得た312票を集計せず、その後も隠蔽工作を行った事件である。民主主義の基本である選挙で管理する側が不正をする、しかも事務局長兼選挙課長という選挙管理の責任者が主導したことが衝撃を与えている。

 この事件、開票作業において、比例選の投票数が300票程度少ないと思い込んだのがきっかけだ。そのため、白票を二重集計して票を水増しする調整を行った。その後、衛藤氏の有効票が未集計のまま残されていたことを発見したものの、この票を集計しなかった。そのため衛藤氏の票が0票となった。さらに衝撃的なのは、発覚を恐れて隠蔽したことである。

 保存が義務づけられている投票結果は、厳重に管理されているはずである。しかし、事務局長らは選挙後の8月には有効票が入った段ボール箱の封印を破って票を入れ替える、別の投票用紙を入れる、白票に書き込みをするなどの工作を実行。逮捕者の中からは、この工作は事務局長兼選挙課長の指示であり、断れなかったとの証言も飛び出している。

 高松市人事課は、内部通報を受けて聞き取り調査を行ったものの、得票計算係の責任者だった容疑者の証言を基に、不正はなかったと結論を出していた。

 こうした状況を受けて、総務省の中央選挙管理会が調査を行うことを決めた。一方、高松市議会では高松市選管で選挙での票の水増し検証のための条例が先月成立した。

 今後、裁判の過程でも真実が明らかにされるだろう。ある政治的意図をもって特定の候補者の得票を無視したのではないか、思ってしまう人もいるだろう。しかし、今のところ、投票のミスが発端でそのミスを取り返すための不正のようである。ただし、投票作業をどこかで訂正・修正できなかったのか、上司の指示に対して異論を唱えられなかったのか、なぜ内部調査が機能しなかったのか、市役所内部の原因追求も必要だろう。(編集担当:久保田雄城)

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