【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】4~6月期業績に対して個別物色の展開へ

2014年8月3日 13:27

■米国株離れも焦点だが不安定な動きの可能性

(8月4日~8日)

 8月4日~8日の株式・為替相場については、引き続き4~6月期業績発表を受けての個別物色の展開だろう。米国株離れが進むかどうかも焦点だが、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスク、ポルトガル大手銀行の経営不安問題やアルゼンチンのデフォルト問題などの金融不安に対する警戒感もあるだけに、米国株や為替の動き次第では不安定な展開となる可能性もありそうだ。

 前週(7月28日~8月1日)は、為替がドル高・円安方向に傾き、日本株も堅調な展開だった。7月30日発表の米4~6月期GDP速報値が市場予想を上回る成長率だったことを受けて、米国市場でドル・円相場が一時1ドル=103円10銭近辺までドル高・円安方向に傾く場面があり、翌7月31日の日本市場では日経平均株価が1万5700円台に乗せる場面があった。

 そして7月31日の米国市場で、米国株が大幅下落(ダウ工業株30種平均株価は前日比317ドル06セント安)した割には、為替がドル安・円高方向に傾かず、翌8月1日の日本市場では日経平均株価の下落が前日比97円66銭安にとどまり底堅い動きだった。このため為替は膠着状態を脱してドル高・円安方向に動き出し、日本株の米国株離れが始まったとの見方が優勢になってきた。

 国内主力銘柄の4~6月期業績発表が前半のピークを通過し、これまでのところ自動車セクターや電機・精密セクターを中心に好業績の発表が相次いでいることや、東証1部市場の売買代金が7月31日、8月1日と2営業日連続で2兆円を超えたことも強気な見方につながっている。

 ただし8月1日の米国市場では地政学リスクや金融不安などが警戒され、ダウ工業株30種平均株価が前日比69ドル93セント安と4営業日続落し、為替は1ドル=102円50銭~60銭近辺とドル安・円高方向に傾いた。CME日経225先物(円建て)は1万5415円だった。

 週初8月4日の日本市場では、8月1日の米国市場の結果に対する反応が焦点となる。全体としては売り優勢のスタートで、引き続き好業績銘柄の個別物色の展開となりそうだ。8月1日と同様に日本株が底堅い動きとなれば、米国株離れを確認して強気ムードが広がる可能性もあるが、米国株離れと判断するには時期尚早だろう。その後は米国株や為替の動き次第で不安定な展開となる可能性もありそうだ。

 当面の注目イベントは7日のECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、7日~8日の日銀金融政策決定会合となる。日銀金融政策決定会合については現状維持の可能性が高く、追加金融緩和に対する期待感がほぼ消滅しているため波乱なく通過しそうだ。ECB理事会も現状維持が予想されているが、ドラギ総裁が記者会見で追加金融緩和を示唆すれば、為替はユーロ売りの動きを強める可能性があるだろう。

 海外要因としては引き続き、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクに加えて、ポルトガル大手銀行の経営不安問題がユーロ圏全体の金融不安につながるのではという警戒感、アルゼンチンのデフォルト問題が世界的な金融不安につながるのではという警戒感などに注意が必要となる。

 国内要因としては引き続き4~6月期業績発表が焦点だ。主力銘柄の業績発表が前半のピークを通過し、これまでのところでは自動車セクターや電機・精密セクターを中心に好業績を発表する動きが相次いでいる。そして市場全体のムードに影響を与えるという点では、5日発表予定のトヨタ自動車<7203>の業績が注目される。また新興市場では、主力銘柄の4~6月期業績発表が相次ぐネット・ゲーム関連に加えて、ロボット関連や新燃料・新エネルギー関連が注目されそうだ。7日予定のJPX日経400採用銘柄入れ替えに絡む思惑にも注目しておきたい。

 為替については、7月29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリング(量的緩和縮小)継続を決定したこともあり、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ時期を意識した動きも見られ始めた。ただし8月1日発表の米7月雇用統計で、非農業部門雇用者増加数が6ヶ月連続で20万人超となったが、市場予想をやや下回ったことで早期利上げ観測がやや後退したようだ。地政学リスクなども影響して米10年債利回りが上昇しにくい状況であり、当面は1ドル=102円台での推移だろう。

 その他の注目スケジュールとしては4日の日本7月マネタリーベース、5日の中国7月HSBCサービス部門PMI、豪中銀理事会、インド中銀金融政策決定会合、ユーロ圏6月小売売上高、米6月製造業新規受注、米7月ISM非製造業景気指数、6日の日本6月景気動向指数、タイ中銀金融政策決定会合、米6月貿易収支、6日~7日の英中銀金融政策委員会、7日の米6月消費者信用残高、8日の日本6月経常収支、日本7月景気ウォッチャー調査、中国7月貿易統計、9日の中国7月PPI・CPIなどがあるだろう。

 その後は、8月13日の日本4~6月期GDP1次速報、14日の日本6月機械受注、インドネシア中銀金融政策決定会合、韓国中銀金融政策決定会合、28日の米4~6月期GDP改定値、9月2日の豪中銀理事会、3日~4日の日銀金融政策決定会合、英中銀金融政策委員会、4日のECB理事会、5日の米8月雇用統計、8日の日本4~6月期GDP2次速報、16日~17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)とイエレンFRB議長の記者会見などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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