アトラスVロケット、8月1日の打ち上げに向け準備進む

2014年8月1日 10:53

 ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は、航法衛星GPS IIF-7を搭載したアトラスV 401ロケットの打ち上げを、8月1日に実施すると発表した。

 打ち上げ時刻は米国東部夏時間2014年8月1日23時23分(日本時間2014年8月2日12時23分)に予定。また打ち上げが可能な時間帯(ローンチ・ウィンドウ)は18分間が確保されている。

 ロケットは31日8時(米国東部夏時間)に、移動式発射台に載せられた状態でロケット組立棟を出発、射点へと運ばれた。現在打ち上げに向けた準備作業が進められている真っ最中だ。当日の天候は80%の確率で好天になると予報されている。打ち上げの模様はULA社のWebサイトで生中継される予定だ。

 GPS IIF-7はカーナビなどでおなじみのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を構成する衛星で、GPS IIFはGPSの衛星シリーズとしては第4世代に当たる。前世代機と比べて、搭載されている原子時計の正確さが上がっており、より正確な測位が可能だ。現在旧世代機との入れ替えが順次進められている。

 今回打ち上げられるのは、そのGPS IIFの7号機で、打ち上げ後には軌道上にあるGPS衛星は全39機となる。

 GPS IIF-6の製造はボーイング社によって行われ、運用は米空軍が担当する。打ち上げ時の質量は1,630kgで、 高度20,200km、赤道となす角度が55.0度の軌道を周回する。計寿命は15年が予定されている。

 アトラスVはロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、ボーイング社のデルタIVロケットと共に、ロッキード・マーティン社とボーイング社の共同出資で設立されたULA社によって運用されている。

 今回の打ち上げに使われたのはアトラスV 401と呼ばれる構成で、これはフェアリングの直径が5m、固体ロケットブースターは無く、セントールと呼ばれる上段のエンジンが1基、ということを示している。アトラスV全体を通しての打ち上げ回数は今回で46機目となり、2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けている。

 アトラスVの第1段には、ロシアのエネルゴマシュが製造したRD-180エンジンが使われており、このエンジンを巡っては米国の国内、またロシア側からも、その使用や輸出に関して揉めている状況が続いている。ロシアのロゴージン副首相は、軍事衛星の打ち上げにロシア製エンジンの使用を禁止することも匂わせており、今後、今回のような軍事衛星の打ち上げに、アトラスVが使えなくなる可能性があることから、現在米国製の代替エンジンを開発する動きが始まっている。

■Atlas V GPS IIF-7 - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/atlas-v-to-launch-gps-iif7.aspx?title=Atlas+V+to+Launch+GPS+IIF-7

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