経営難で消費税を納税できない? 37%の中小企業が増税に苦しむ

2014年7月27日 20:33

 消費税が8%に増税されてから数カ月が過ぎたが、増税分を価格転嫁できていないという中小企業が約37%にも上ることが分かった。日本商工会議所が今年4月下旬からの一カ月間、全国3,191社の中小企業を対象に調査した結果によると、増税分の価格転嫁が「全くできていない」と答えた企業が10.5%、「一部転嫁できている」は26.8%で、合わせると37.3%が十分に価格転嫁できておらず、増税によって中小企業の経営が圧迫されている状況が伺える。

 一方、国税庁の発表によると消費税の滞納は慢性化しており、2011年の新規発生消費税滞納額は3,220億円、12年では3,180億円となっている。消費税滞納には延滞税もかけられる。納付期限の翌日から2か月を超えた場合、原則年率14.6%という高い延滞税が加わるのだ。15年10月にはさらに消費税を引き上げて10%にすることが検討されている。現時点で価格転嫁に苦しむ中小企業が消費税を滞納せざるをえなくなった場合、延滞税が追い打ちをかける上さらなる増税によって倒産を余儀なくされるということも十分予測される。

 国は13年10月に転嫁対策特別措置法を施行。17年3月までの期限つきだが中小企業を守るための取り組みとして、同業者同士で転嫁の表示や方法を共同して決定する「転嫁カルテル」を認めている。また大企業などに向けて、下請け会社に減額の要求を行うことや、買いたたき行為などを禁止している。違反する企業があった場合は立入検査や勧告・企業名の公表などを実施するとしている。

 経済産業省と公正取引委員会の発表によると、13年10月~14年2月末までの累計で、転嫁拒否行為を行っている事業者に対する調査件数は1,777件で、立入検査まで至ったのは302件、指導で対応したのは853件だった。しかしこうした取り組みは一体どこまで効果があるのか不確かだ。下請け企業の多くは取引停止を恐れて、不当な要求を飲みながらなんとか仕事をこなしているというのが現状ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)

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