“トップランナーモーター”をご存じですか? やっと世界に追いついた日本の産業用モーター環境基準
2014年7月27日 21:13
日本電機工業会によると、日本国内の産業用モーターはここ数年、毎年680万台ほど出荷されている。金額ベースでは2000億円規模に達するという。国内の工場などで稼働する産業用モーターは、その総数1億台に達する。
モーターはあらゆるモノ作りにおいて重要な基幹パーツだが、その電力消費量は相当に大きい。国内電気使用量の約55%に達し、産業用電力だけでみると実に75%を占める大きさだ。
その産業用モーターが高効率な製品になれば、大きな省エネ効果が得られる。そこで、産業機器などに搭載するモーター(三相誘導電動機)に、来年4月から省エネ法が適用された、新たな基準に適合する「トップランナーモーター」に生まれ変わる。
7月23日から東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「TechnoFrontier2014」でも、産業用モーターメーカー各社が競って新基準に対応したモーターを展示。省エネ効果を睨んだモーターの代替が産業界で進むと見て、積極的にアピールしていた。
産業用モーターの新基準「IE3」基準は、国際電気標準基準(IEC)の効率基準値だ。経産省は昨年1月に省エネ製品の普及を促進する「トップランナー制度」にこのモーターの「IE3」基準も加え、11月に政省令および判断基準が公布していた。
トップランナーモーターを開発・製造・販売するうえで必要なエネルギー消費効率以外の特性や性能、構造ならびに試験方法などは、別途JIS規定で決められている。
トップランナー制度では、来年4月以降に出荷する産業用モーターはすべて「IE3」基準に切り替える必要があり、従来型のIE1/IE2型基準のモーターの受注は、まもなく締め切られるようだ。
欧米や中国、韓国などでは高効率モーター使用の法規制が積極的に行なわれていたが、ようやく日本もグローバルな基準に追いついたといえる。
原子力発電所が稼働していた2009年時点で、経産省・資源エネルギー庁が行なった試算によると、国内で稼働する1億台の産業モーターが、すべて新基準に切り替わった場合、電力削減量は年間で155億キロワット。国内年間使用電力の1.5%が削減される。同時にCO2も大幅に削減でき、527万トンの二酸化炭素が削減できるという。現在は火力発電に頼っており、CO2削減量はさらに大きなものになることが予想できる。(編集担当:吉田恒)