東京都「まちづくりガイドライン2014」で、どう変わる品川・田町周辺
2014年7月26日 20:06
東京都が発表した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014(案)」は、表紙・目次を除いた本文・資料でPDF書類A4・100ページに及ぶ膨大な報告書だ。このなかで東京都は、同地域の将来像を正式に示したこととなる。このガイドラインによると、同地域を「今後の日本の成長を牽引する国際交流&ビジネス拠点とする」としている。
具体的には東日本旅客鉄道(JR東日本)が品川・田町駅間に開業を予定しているJR山手線新駅一帯を含めたエリアを、国内外の企業が集結する東京で最大規模のビジネス拠点としていくということ。
背景には羽田期以降の国際線拡大と新駅から羽田空港への新線建設。加えて「リニア中央新幹線」の始発駅が品川に決定したことを受けている。このために、東京都とJR東日本に加えて民間活力を動員して開発を段階的に進める膨大な計画案が今回発表されたガイドラインである。
まず、中核となる開発計画は、品川駅から田町側1000mほどに出来る新駅周辺開発地に、JR東日本がマンションやオフィスビル、商業施設やホテルなどが入る高層ビルを8棟建設し、高層ビル群を形成する。ガイドラインによると海外からの企業進出、あるいは日本企業に勤務する外国人を前提として、多国語に対応した保育所やメディカルセンター、インターナショナルスクールなども誘致する考えだ。
同時に品川駅西口・北口の再開発計画も示され、品川駅そのものが一新される模様。現在地上2階ほどの高さにある京浜急行品川駅は地上に設置して2階部分は京急・JR・新幹線・リニア線を繋ぐ一大歩道デッキとなる。
品川駅は2027年に開業予定のリニア中央新幹線の始発駅となる。そのため周辺の鉄道駅からの徒歩移動を考慮し、この歩道デッキは品川および山手線新駅、そして地下鉄泉岳寺駅まで繋ぎ、人の回遊性を高める計画だ。加えて、2020年の東京オリンピックを前に来街者の増加に対応、駅全体を繋ぐ空間はユニバーサルデザインで統一し、多国語言語によるデジタルサイネージなどによる標識を充実させるという。
また、ガイドラインは、当該エリアの道路ネットワークの改変にも大きなページを割いている。品川駅東側を走る首都高速に「品川ランプ」を建設し、羽田空港へのアクセスに対応。環状4号線の整備延伸により、羽田・臨海部・六本木方面とのアクセスを向上させるなど、広域道路ネットワークの形成を図る。また、目黒通りから高輪口付近の国道15号に及ぶ1500mを整備し、高架橋で品川駅を跨ぎ旧海岸通りから首都高速・新品川ランプに直結させる。
周辺開発においては、その開発規模に応じた駐車場、駐輪場、自動二輪車駐輪場等の交通処理施設の整備を図るのは当然だが、駅周辺部においては交通結節機能強化の観点から、必要に応じて適切な規模の施設を確保する。道路整備計画とともに、これら開発に伴う交通処理は大規模な計画だ。
グローバルな視点で捉えると、世界の都市の潮流も変化してきている。世界の成長センターとして、数多くの大規模な都市開発プロジェクトがアジアに集中しているとも言われている。21 世紀の半ばには、世界人口の5 割以上をアジアが占めるなど、世界経済の主要舞台に向けてアジアの都市が成長を続けているのは確かだ。
このようななかで各国に於ける都市間競争は激化しており、世界の市場から選ばれる都市であるためには、居住・教育・医療・文化など、優良な企業やビジネスパーソンを呼び込む魅力的な環境や、環境にやさしくスマートで、かつ安全安心な都市環境など、良質な環境を備えた街づくりを行なうことが求められている。そんな課題にこのガイドラインは応えているのだろうか。(編集担当:吉田恒)