東大、ゾウがイヌの2倍・ヒトの5倍の嗅覚受容体遺伝子を持つことを明らかに
2014年7月24日 22:54
東京大学の新村芳人特任准教授らによる研究グループは、アフリカゾウのゲノム中に、匂いを認識するタンパク質を作るための遺伝子が約2,000個も存在することを発見した。これまでに報告された中ではラットの約1,200個が最多だったため、ゾウは他の動物よりもはるかに多くの匂い認識タンパク質の遺伝子を持っていることになる。
空気中の匂い分子が生物の鼻腔にある嗅覚受容体(OR)に結合すると、それを匂いとして感知することができる。ラットは約1,200個、ヒトは約400個のOR遺伝子(ORを作るための遺伝子)を持っていることが知られている。
今回の研究では、正確なゲノム配列が利用可能な13種類の動物について、コンピュータを使ってOR遺伝子を調べたところ、アフリカゾウはイヌの2倍以上、ヒトの5倍に相当する約2,000個ものOR遺伝子が存在することが明らかになった。これは、今までに分かっている最多数をはるかにしのぐ数で、ゾウの鼻は長いだけでなく、その能力も優れていることが示された。また、OR遺伝子の進化にもとづいて系統分類をしたところ、13種の動物が持つ1万個以上のOR遺伝子を781のグループに分けることに成功した。
今後は、様々な動物のOR遺伝子を比較することで、ヒトの嗅覚に対する理解が深まると期待されている。