SOUL'd OUT 38曲4時間のラストライブで遂に解散、「俺たちの青春ソングだぜ!」
2014年7月23日 10:38
解散を発表していたSOUL'd OUTが、7月19日に新木場STUDIO COASTにてラストライブ【 SOUL'd OUT LAST LIVE “0”】を行い、11年半に及んだグループの歴史に終止符を打った。
今年の1月に解散を発表し、春にラストアルバム『To From』をリリース。そして6月より最後のツアーとして、全国8か所を巡ってきた彼ら。メジャーデビューから“決して短くはない”時の中で、ヒップホップやブラックミュージックがルーツのラップグループとしては異例のセールスやライブ動員を誇ってきたが、この日のステージを最後に3人は個々に活動していくことを決意したのだ。
会場には当然、数多くのファンが集結し、チケットは完売に。集まった2500人の想いを代弁するかのように、昼すぎから降り始めた雨は徐々に勢いを増していく。会場内には多くの花がミュージシャンや著名人から届けられており、中には『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる漫画家 荒木飛呂彦氏からも。関係者席も超満員にふくれあがっていたのが印象的だ。
やがて開演時間になり会場が暗転し、ステージ前方に張られた白い幕に3人の影が浮かび上がると、客席からは悲鳴のような大歓声と共に多数のピースマークが掲げられる。記念すべきラストステージの1曲目に選ばれたのは、2012年に発表した「UnIsong」だった。
ジャケットをはじめ黒一色の衣装でトレードマークのキャップをかぶったDiggy-MO'に、同じく黒ずくめのシックな衣装でまとめたBro.Hi。Shinnosukeは白ジャケットの胸元に黒い花を差し、モノトーンストライプのパンツを合わせたきらびやかな姿でキーボードに囲まれており、向かって右側ではサポートDJのTeddyLoidがターンテーブルを操っている。近年のスタンダードとなっていた4人体制で、ラストライブはスタートした。
また、ステージの後方中央にはアップライトピアノがあり、Diggy-MO'が演奏する一幕も。10年以上に渡るクラシックピアノ歴を持つ彼は、この日は数曲で壮麗な調べを奏でて会場を沸かせた。2011年に再始動第1弾シングルとして発表した「and 7」でミドルテンポの心地よいリズムに型破りなピアノフレーズを合わせたり、ラストアルバム収録の「Hoochie Coo Baby」で間奏に印象的なピアノソロを繰り出したりと、最近のライブではその腕前を披露することも多い。
一方のBro.Hiといえばリズムマシンやレコードのスクラッチ音を声で表現するヒューマンビートボックス(HBB)が大きな武器だが、最後の舞台でも様々な楽曲を独特の強烈なビートで彩った。中盤の大きな見せ場、「STEALTH II」の後にはHBBのソロプレイを披露。その後、ステージにギター、ベース、ドラム、キーボードが登場するバンドスタイルが展開され、サポートプレイヤーと共にShinnosukeが分厚いアンサンブルを構築していく。そうして一気に増した音圧でグループ中期の名曲の一つ「VOODOO KINGDOM」が届けられると、会場からは歓喜の声が上がった。
終盤まで目立ったMCもなく、次々に楽曲が披露されていったが、2003年のヒットナンバー「Dream Drive」のイントロで車のエンジン音が鳴り響くと、Diggy-MO'は「俺たちの青春ソングだぜ!」と笑顔を見せた。一見するとクールな印象が強い彼らだが、ライブでは非常に熱っぽい姿を見せることも少なくない。
2008年にリリースしたライブDVD『Tour 2008 “ATTITUDE”』でラストを締めた「GASOLINE」などはその顕著な例と言えるが、同曲はこの日も終盤、本編のラスト前に選曲されてボルテージは最高潮へ。そして本編のラストには、11年半の歴史を共にすごしたファンへの感謝を綴った「Dear My Cru」が選ばれた。
そしてアンコールでは、キャップを目深にかぶったDiggy-MO'が「みんな本当にどうもありがとう」とつぶやくように話し始めた。11年半を支えてくれたスタッフや周囲への感謝を告げると、くだらないリップサービスは好きではないがと前置きしつつ、「みんなの愛に包まれてライブできて本当に幸せでした」と一言。こうしたMCは11年半の歴史の中でもほとんど初めてに近いと思われるが、最後に「今日がSOUL'd OUT、最後のステージになります」と改めて宣言し、多くの涙に包まれる中、「Starlight Destiny」で大団円を迎えたのだった。
高らかに掲げたメンバーのピースサインが、ステージ上部から噴き出された白煙に霞んでいく感動的なシーンで終了、と思われたラストライブだったが、無人のステージにスクリーンが登場すると、ラストアルバムに収録されていた英語詞の1曲「scribbles」の和訳が映し出された。タイトル通り、散文的にまとめられた同曲だが、最後に綴られた言葉は“近い未来 必ずおまえを迎えにゆく”。3人からのメッセージとも捉えられるこの一言で、全38曲4時間に及んだラストライブは全演目が終了となった。
こうして長きに渡る歴史に幕を下ろしたSOUL'd OUTだが、この日の模様は映像化されることが決定しており、秋ごろのリリースを予定しているという。
◎SOUL'd OUT ラストライブ【SOUL'd OUT LAST LIVE “0”】 2014/07/19(土) 新木場 STUDIO COAST セットリスト: 01.UnIsong 02.TOKYO通信 ~Urbs Communication~ 03.TONGUE TE TONGUE 04.バナナスプリット 05.Magenta Magenta 06.HUNTER 07.ルル・ベル 08.and 7 09.SOUL'd OUT is Comin' 10.Twilight Twilight 11.COZMIC TRAVEL 12.輪舞曲(ロンド) 13.円卓の騎士 14.SHUFFLE DAYZ 15.STEALTH II ~ Human Beat Box 16.scribbles (half) 17.VOODOO KINGDOM 18.1,000,000 MONSTERS ATTACK 19.Sticky 69 20.S.O Magic 2 21.Hoochie Coo Baby 22.MARTIAN MARTIAN 23.Flyte Tyme 24.Sweet Grrl パイセン 25.SUCK MY ART 26.ALIVE 27.BLUES 28.Love, Peace&Soul 29.MEGALOPOLIS PATROL 30.ウェカピポ 31.Dream Drive 32.To All Tha Dreamers 33.GASOLINE 34.Dear My Cru
En1.GROWN KIDZ En2.SUPERFEEL En3.Starlight Destiny
LAST.scribbles (half)