サラリーマンのゴール 役員報酬の金額はいくらなのか
2014年7月21日 17:25
“役員”というポストはサラリーマンにとってゴールであり憧れだ。専用の個室、自動車、秘書がつくほか、新幹線や飛行機の移動もグリーン車やビジネスクラスを使うことが出来る。「いつかは役員に」サラリーマンならそう思うのも当然だ。
憧れの役員の報酬はどれくらいかご存じだろうか。2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」で、上場企業は10年3月期決算から取締役、監査役など役職別及び報酬等の種類別の総額と、さらに報酬1億円以上を受けた役員情報を有価証券報告書に記載することを義務付けられた。
14年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した上場企業は191社、人数は361人だった。前年同期より社数で16社(前年同期175社)、開示人数は60人(同301人)増加した。業績改善を反映し、2年連続で役員報酬1億円以上を開示した225人のうち、160人(構成比71.1%)は前年同期より役員報酬額が増加した。
役員報酬でしばしば話題となるのが、日産自動車<7201>のカルロス・ゴーン社長だが、同氏の14年3月期の役員報酬は9億9500万円。上には上があり、役員報酬の最高額は、キョウデン<6881>の橋本浩最高顧問が12億9200万円(前年同期:開示なし)で、2010年3月期決算から開始された個別開示制度で歴代2番目の報酬額となった。高額報酬のほとんどは退職慰労金とのことだ。(基本報酬はわずか1100万円)
高額の役員報酬は確かに魅力的だ。しかし、役員になれば必ず高額の報酬が約束されているわけではない。キョウデンの橋本氏は同社の株式を過半数所有する支配株主であり、この金額は他の株主からも許容されていると考えられる。その点においては、サラリーマン社長とは根本的に立場が違う。役員報酬で2位になったカシオ計算機<6952>の樫尾和雄氏もカシオの創業一族だ。創業家にとっては自分で自分を経営者として雇うことになり、自分達が納得すれば、ある程度高額の役員報酬も許容されることになるわけだ。サラリーマン役員が高額報酬を受け取る場合には、その対価に見合った企業価値の向上を実現したかについて、株主に納得してもらう必要がある。やはり、サラリーマンはラクではない。(編集担当:久保田雄城)