日本の火山地域で火山性流体の圧力が高まっている可能性

2014年7月18日 15:26

あるAnonymous Coward 曰く、 防災科学技術研究所と仏パリ地球物理研究所のチームが、日本の地震感知器による東日本大震災以後の地震波のデータと仏グルノーブルにある計算機インフラ(CIMENT)を組み合わせるという新しいアプローチによる研究を行った。その結果、富士山内部の火山性流体の圧力が高まり「臨界状態」にあることが分かったという(防災科学技術研究所PDFguardianSlashdotScience誌掲載論文)。

 富士山は日本文化に重要な役割を果たすランドマークとして知られているが、最後の噴火はわずか400年前という活火山でもある。富士山はユーラシア、太平洋、フィリピン海の3つのプレートがぶつかる場所であり、常に噴火する可能性があるとされている。

 この研究では観測点ごとにその地下を地震波が伝わる速度を測定し、その時間変化をマッピングする手法を開発したそうだ。その上で実際にマッピングを行い、結果を地図上に表示している。使用した地震波形データは70TB以上で、数ヶ月の解析時間を得て結果が得られたそうだ。これによると、「地震波速度の顕著な低下が、震央から離れた特に火山地域において見られる」ことが分かったという。これは、火山下で高圧状態にあった火山性流体(火山ガスや熱水、マグマなど)を地震波が通過する際、応力変化が発生して地下構造に影響を与えたためと考えられるという。また、地下の火山性流体の圧力状態を反映していると考えられる「地震波速度感受性指標」も作成、その結果火山地域でこの指標値が高いことが分かったという。

 研究チームでは、今回の研究は地震と火山噴火の直接的な因果関係を示すものではないが、火山活動の評価に利用できる可能性があるとしている。なお、中国の新華ニュースはこの発表を元に「日本富士山は地震で一触即発-海外メディア」という盛った記事を配信している。

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