シロアリのセルロース代謝経路、共生バクテリアを介した全体像が明らかに

2014年7月14日 20:57

 理化学研究所と琉球大学による研究グループは、シロアリのセルロース代謝経路を可視化することに成功した。

 シロアリは、森林生態系の物質循環に貢献する生物で、多様な共生微生物が体内に生息することからも共生系のモデル生物として知られている。これまで、DNA解析や共生微生物を1種ずつ解析する研究はおこなわれていたものの、宿主の社会構造や腸内の共生微生物など、多階層に渡る代謝経路の全体像は明らかになっていなかった。

 今回の研究では、オオシロアリにC13同位元素で作られたセルロースを与え、2次元核磁気共鳴法によってその代謝経路を観察した。その結果、シロアリ自身が持つ分解酵素によってセルロースが前腸で分解されることや、後腸の共生微生物が代謝した物質(必須アミノ酸)は排泄物を介して別のオオシロアリが摂取していることが明らかになった。

 今後は、本研究で応用した生物間相互作用の解析技術と、継続的な環境試料の分析データベース構築を行っていくことで、従来はヒトの五感に頼る暗黙知で捉えていた生態系を形式知化して維持、活用していくことが期待される。

 なお、この内容は7月9日に「Proceedings of the Royal Society B」に掲載された。

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