京大、iPS細胞を誘導する技術を用いて、がん幹細胞を人工的に作成することに成功
2014年7月12日 23:34
京都大学の大嶋野歩研究員らによる研究グループは、iPS細胞を誘導する技術を用いることで、大腸がん幹細胞を人工的に作成することに成功した。
がん幹細胞は、がんの転移・再発などを引き起こすため、がん幹細胞にダメージを与える治療方法の開発が望まれている。しかし、がん幹細胞はがん組織の中にごく少数しか存在しておらず、研究を進めるために十分な量を確保するのが難しかった。
今回の研究では、iPS細胞の誘導に用いられるOCT3/4・SOX2・KLF4という3つの遺伝子を大腸がん細胞に導入したところ、一部のがん細胞が大腸がん幹細胞と同じ特徴を獲得することが明らかになった。さらに、人工大腸がん幹細胞は、色素薬剤を排出する能力が高い性質を利用して、選択的に回収することに成功した。
今後は、人工がん細胞が、がん組織中でどのように振る舞うのかを解明し、新しい治療法の研究開発に役立つと期待されている。
なお、この内容は7月10日に米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。