橋下徹大阪市長、「父親が元暴力団」という新潮社の報道を名誉毀損で訴える

2014年7月11日 17:21

【7月11日、さくらフィナンシャルニュース=大阪】

6月27日に、「橋下徹市長、新潮社に1100万の損害賠償を請求」という記事を報じた。さくらフィナンシャルニュースの取材で詳細が判明したのでお伝えする。

事件番号は、平成26年(ワ)第2018号。原告は大阪市長の橋下徹氏で、新潮社(本社:東京都新宿区)を相手どり、約1100万円の損害賠償請求を起こした。

橋下市長サイドの訴状によると、新潮社は発行する雑誌『新潮45』(平成23年11月18日発行、以下、「本件雑誌」)で、橋下市長の特集記事(32〜41ページ)を組んでいた。その中は、橋下市長の父が暴力団員だった、との記述を掲載している。この部分の記述を、名誉毀損かつプライバシーの侵害として訴えを提起した。

橋下市長は、幼い頃父と別れ、母と妹と三人で生活しており、父親の記憶がないという。

それにもかかわらず、原告が過去にも現在にも暴力団と関わっていたと思わせる本件雑誌記述は名誉毀損だという。さらに、父が暴力団であったというのが事実であったとしても、それはプライバシーに属すると主張。

ちなみに、本件が事実であるかどうかは原告には不明であるという。

橋下市長は当時、大阪府知事だったので、公的な言論の場で議論の対象にされる立場であることは承知しているが、関わりの薄い父が暴力団であったという報道は、言論に値することがらでなく、公共性がない、との言い分を展開。

新潮社側は橋下市長の訴えを全面的に拒否。その主張は追って明らかにするという。

事件は第2民事部合議2係の担当で、裁判長は西田隆裕氏(第42期)、裁判官は斗谷匡志氏(第56期)および狭間巨勝氏。

橋下市長側の弁護士は松隈貴史氏、新潮社側の弁護士は熊谷信太郎氏がつとめている。

新潮社側の答弁が明らかになるなど訴訟が進展次第、続報をお届けする。争点は報道が事実かどうかというよりもむしろ、表現が名誉毀損にあたるかどうか、言論に公共性があるかどうかという原理的な考察となるだろう。【了】

 フリーライター 井上 聡/いのうえ・さとし。1983年生まれ、福岡県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学中。専攻は美学・国文学。趣味は加茂川沿いをランニング。

「橋下徹市長、新潮社に1100万の損害賠償を請求」(http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140627_4)

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