増加する「社会科見学」に対応して、新たに14億円超の投資で見学施設をリノベーションする「味の素」
2014年7月10日 11:58
ここ数年、ブームと言えるほどの人気となっているのが「社会科見学」「工場見学」だ。京浜工業工場地区ではライトアップされた夜の工場見学などもブームである。また、旅行代理店のクラブツーリズムでは、「大人の社会見学ツアー」という名称を2007年に商標登録したほどである。
神奈川県川崎市にある「味の素」川崎事業所でも工場見学は人気で、週末などは3カ月先まで予約で一杯だという。この川崎工場では昨年度3万1000人の見学者が訪れたが、これ以上の受け入れは不可能として、同事業所創立100周年を記念して、新しい工場見学施設を建設することにした。
同事業所は京浜急行大師線・鈴木町駅前にあり、見学施設はその敷地に約14億5000万円を投じて建設する。着工は本年8月、完成・稼働開始は2015年5月の予定だ。新施設の稼働で年間6万人の見学者に対応出来るという。
新工場見学のメインとなる施設は、鉄骨造地上2階建てバリアフリー設計。1階に味の素グループの歴史や、うま味調味料「味の素」の製造工程のジオラマ、原料の展示、4面スクリーンのシアターでは、同社の製品が自然から生まれた素材から作られていることなどを紹介する。「味の素」のキャラクター「アジパンダ」グッズなどを販売するショップなどを設置する。
なかで人気を集めそうなのが、2階に設置する「味の素」6g瓶(非売品)の充填・包装体験ができる「My『味の素』づくり体験工場」、料理教室用のキッチンスタジオ、「味の素」を使った味噌湯体験や当社商品の試食を行なう「試食ホール」を設置する。この150名収容可能な「試食ホール」は、要望の多かった見学者の昼食場所としても利用できる。
同社では工場見学のターゲットを、社会科見学の小中学生や30~40歳代の親子、同社製品の得意客と想定している。現在の「ほんだし」工場の見学に加えて新たな見学コースの増設や、これまでにはなかった「環境」などに関するコンテンツを拡充させる。新工場見学施設を通じて、味の素の事業や商品を五感で体験できるという。
同社は以前から、工場や事業所が立地する地域において、その住民と良好な関係を心がけてきた。川崎事業所周辺では近年、大型マンションの建設・分譲が相次ぎ、若い世代の家庭が増えている。こうした家族ニーズを考慮し、新工場見学施設の隣接地に認可保育所を誘致して、待機児童解消の一助となることを目指す。
さらに、同敷地内に地域住民の憩いの場となるカフェを建設する予定。将来的には、これらの施設と連携し、新工場見学施設において定期的に親子料理教室等のイベントを行なう予定だという。(編集担当:吉田恒)