女性に急増 心と体を蝕むアルコール依存症の恐怖

2014年7月6日 19:39

 厚生労働省の発表によると、「一年間のうちお酒を一度以上飲む機会がある」と答えた20代前半の人の割合は男性で83.5%。それに対し女性では90.4%であった。進む女性の社会進出を背景に、飲酒する機会は増加傾向にある。そして、それに伴い増えているのがアルコール依存症だ。

 アルコール依存症とは、大量の飲酒を繰り返した結果、飲酒に対する欲望が強くなり過ぎて自分ではコントロールできない状態にあることをいう。依存の初期症状としては、常に冷蔵庫にお酒が入っていないとイライラしたり、真夜中であってもコンビニへお酒を買いに行ってしまうといった行動がみられるようになる。

 このようなアルコール依存症の患者数は全国で約109万人でこの10年間で約1.5倍も増加している。また、アルコール依存症の予備軍ともいえる多量飲酒者も約979万いると見られ、合計1,000万人以上が飲酒に関する問題を抱えていることになる。

 女性は男性よりも臓器が小さく、ホルモンの影響もあることから男性の2倍のスピードでアルコール依存症になるとみられる。肝硬変などの肝障害に対しても女性の方が重症化しやすく、不妊症になるリスクも高まってしまうのだ。医療機関や専門家も警鐘を鳴らし始めており、治療体制の充実を呼びかけている。

 アルコール依存症の治療法は基本的に「断酒」しかない。症状が酷い場合は入院することによって、お酒を全く飲まない生活を長い期間続けるしかないのだ。しかも、一度依存症になると完治することは難しく、少しずつお酒を飲まないことに「慣れていく」しかないのである。治療が成功したようにみえても、再びお酒を口にすればすぐに再発してしまうケースもあり、本人の努力だけでなく家族やパートナーの協力が必要不可欠となる。

 アベノミクス3本目の矢である「成長戦略」の中には「女性が輝く日本」という文言がある。つまり、国策として女性の社会進出を強く推進しようとしているのだ。現状、女性特有の課題として出産やそれに伴う休暇・復職についての議論が盛んだが、これからはアルコール依存症に対する注意喚起や、治療方法の研究も重要なトピックとなるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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