農業女子が日本の農業を元気にするか?
2014年6月29日 19:26
昨年、農水省は「農業女子プロジェクト」を立ち上げた。農業に女性の視点を取り入れることで、商品やサービスなどの新たな開拓を目指すらしい。同時に、女性の就農者の数を増やすことも目的とされているようだ。
このプロジェクトが掲げる目標は、野菜市場を模した「マルシェ」で商品を販売するなどし、農業をテーマとしたライフスタイルを発信していくこと、また、観光を含めた農場ツアー「アグリツーリズム」の計画などがある。プロジェクトの内容に応じて、様々な企業が共同参加しているようだ。今年2月には、東急ハンズとコラボレーションし、同店内で農業女子が提案するバレンタインのイベントが開催された。
コーセー<4922>は農業女子の就業環境に適した化粧品を提供。実際に化粧品を使った農業女子の使用実感を参考に、商品開発するという。また、エイチ・アイ・エス<9603>は、食育や自然体験を売りに、農業女子を訪問するツアーを企画している。
こうした農業に着目したプロジェクトに国が力を注ぐ背景には、新規就農者を増やしたいという意図があるようだ。農水省が昨年まとめたデータによると、12年度の新規雇用の就農者は8,490人で、前年に比べ4.8%減少している。内訳をみると、農家出身は1,760人、非農家出身は6,740人となっており、非農家出身が全体の約8割も占めているというのが現状だ。
農水省は、青年就農給付金などの助成を積極的に行っている。青年就農給付金とは、主に農業経験のない者に対し、都道府県の認める農業大学校や農家、または法人などで研修を受けることにより、年間150万円の支援を行うというもので、最長で2年間助成金を受け取ることができる。条件としては、就農時の年齢を原則45歳未満とし、援助を受けた者は、研修内容を生かして農業従事者になることなどが挙げられている。またそれとは別に、新規就農する経営者に対しても、経営が安定するまでの最長5年もの間、年間150万円を給付するという助成金制度がある。
農家出身ではない新規の就農者を拡大させていくことが、今後の農業の活性化に繋がるのかもしれない。始まったばかりの農業女子プロジェクトに期待が寄せられている。(編集担当:久保田雄城)