50代で3割を超える人が退職後の生活準備金ゼロ
2014年6月27日 12:44
フィデリティ投信が発表した「勤労者3万人アンケート」によると、退職後の資金がまったくないという50代の男性は、全体の3割にも及ぶ。アンケートは今年4月に正社員、非正規雇用、公務員、自営業などの職に就く20代~50代の男女、32,494人を対象として行われた。
調査の結果見えてきたのは「老後難民」の存在だ。老後難民とは、老後資金の準備が不足している人、資金準備ができない人、あるいは全くしていない人などの意味だ。アンケート結果を見ると、退職後の生活イメージについて、年収が上がるにつれて「いきいき・はつらつとした生活」や「明るく・楽しい」と回答する人の割合が増えており、収入に余裕のあることが将来への肯定的な見方に繋がっていることがわかる。反対に、年収300万円未満では、退職後のイメージを12.5%の人が「つらく・不安な生活」と回答しており、その割合は年収1,500万円~2,000万円未満の回答割合の10倍近くになる。しかし、「定年退職後の生活は今の高齢者より悪くなっていると思う比率」は、全体で59.7%にのぼり、現在の年収に関係なく半数以上の人が、将来に対する不安を感じていることが明らかとなった。
だが、退職後の生活を支えるために公的年金以外で一体いくら必要になるかという質問に対しては、50代男性で、平均3,246.1万円という答えが出ているにも関わらず、実際に準備できている金額は、平均1,039.2万円というものにとどまっている。さらにその平均値の裏には、準備金が0円という回答者が32.1%もいるのだ。別の質問では、予想される退職前後の生活について、現役時代の3割未満の水準で生活できると考える人が全体で15.2%、また、5割未満の水準で生活できるという回答は25.7%だった。合計すると、40.9%の人が、退職を期に生活費が大幅に低くなると楽観的に見ているようだ。
退職後の生活に困る可能性があるとされている老後難民。不安定に揺らぐ年金問題もあり、老後に備えて自己資金の準備は、ますます欠かせなくなってくるだろう。(編集担当:久保田雄城)