観光がもたらす地域活性化の可能性

2014年6月25日 12:08

 6月2日、観光庁は地域経済活性化支援機構と地域活性化やそのモデルの構築を目的に包括的連携協定を締結した。観光資源の磨き上げ、新商品の開発と国内外への情報発信、若手経営者・後継者を対象とした実践的な経営指導等による人材育成、優れた事業に対する表彰等などを行っていくという内容だ。

 日本人の海外旅行者数は2012年に過去最高の1,849万人を記録した。他方、訪日外国人旅行者は12年で836万である。日本に旅行してくる人の2倍以上の日本人が海外に旅行している状態である。日本人の国内宿泊旅行は1980年代順調に伸びたが、1990年代以降は伸びが大きく鈍った。国民1人当たりの宿泊でみると、回数、宿泊数ともに徐々に減少する傾向である。宿泊数は05年に2.9であったのが、11年2.2と減少している。国内旅行消費額も減少しており、05年に28.6億円であったのが10年には23.8億円と減少傾向は続いている。このように観光地にとっては厳しい環境は続いている。

 12年に観光立国の実現に関する基本的な計画として新たな「観光立国推進基本計画」が閣議決定され「観光の裾野の拡大」と「観光の質の向上」を掲げている。ここの計画には、国内における旅行消費額を16年までに30兆円にすること、日本人の国内観光旅行による1人当たりの宿泊数を16年までに年間2.5泊とすることが目標として掲げられている。

 国内の観光専門のシンクタンク、経済専門のシンクタンク、コンサルティング会社、旅行会社は多くあるにもかかわらず、この機構と包括的連携協定を締結したのはなぜかという疑問は置いておいて、日本の観光地をどのように活性化していくのかは大きな課題であろう。訪日外国人数は世界で第30位と韓国より少ない。前述したように海外に旅行する日本人のほうが日本に旅行にくる外国人より多い状況だ。まだまだ向上の余地はある。日本のサービスの質の高さ、おもてなしを発揮する機会は東京五輪の前にもあるはずだ。(編集担当:久保田雄城)

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