京大、モータータンパク質の「分子綱引き」を行なうナノシステムを実現
2014年6月24日 17:20
京都大学の小寺秀俊教授らによる研究グループは、細胞内のモータータンパク質が「分子綱引き」をおこなうナノシステムを開発した。
細胞内には、微小管に沿って移動する「モータータンパク質」という物質が存在している。これまで、モータータンパク質が1分子としてどのように振る舞うかは明らかとなっていたが、複数分子での挙動については明らかになっていなかった。
今回の研究では、キネシンとダイニンという2種類のモータータンパク質を、マイクロ・ナノファブリケーション技術によってお互いに引き合う「分子綱引き」を実現した。その結果、キネシンは負荷に対して弱くダイニンは強いという個別の特性がそのまま保存されていることが分かった。
この技術によって、モータータンパク質が細胞分裂の際に染色体を引き合うメカニズムを解明することにも繋がると期待されている。また、研究グループのメンバーは、「今回の成果により確立したモータタンパク質を配置したり運動制御したりする技術を用いて、新たな分子ナノシステムの開発も目指します」とコメントしている。
なお、この内容は6月14日に「Scientific Reports」で公開された。