日本電気硝子、マレーシアの生産能力を3割増強
2014年6月23日 13:26
今や世界各国の企業から熱い視線が注がれている東南アジアであるが、国内の企業もそれらの地域に参入をはたしたり、生産拠点の設置や増強を行っている。こうした傾向はとどまるところを知らず、今後もますます強まっていくものとみられる。そうしたなか、ガラスメーカーの日本電気硝子<5214>が18日、マレーシアでの自動車部品向けガラスファイバーの生産能力を増強すると発表した。
日本電気硝子はマレーシア工場での自動車部品に使うガラス繊維の生産能力を、3割増やすと発表。投資額は約200億円で、生産は2015年4月を予定している。同工場で生産された製品は国内外の樹脂メーカーに供給される。
今、自動車業界では車体の重量を軽量化するために、金属製のエンジン周辺部品などをガラスファイバーを混ぜた高機能樹脂に切り替える動きが広がっている。それにより、車体の軽量化と燃費向上の両方が期待できる。そして日本電気硝子は、樹脂製部品の耐熱性や強度を高めるために使われるガラス繊維の需要拡大に対応するため、今回の増強を決定した模様だ。
日本電気硝子はガラスファイバーを能登川事業場(滋賀県東近江市)と、マレーシアの子会社にて生産しており、2箇所の工場の合計出荷量は年30万トン超であり、マレーシアで生産したガラスファイバーは海外メーカーや日系樹脂メーカーの海外拠点などに供給される。また日本電気硝子の樹脂強化用のガラスファイバーの世界シェアは3割であり、今回の増強により能登川事業場とマレーシア子会社が持つ工場を合わせたガラスファイバーの生産能力は、これまでより約30%増加することとなる。
日本電気硝子の売上高の6割は、液晶パネル向けの基板ガラス占めている。しかし薄型テレビの価格下落や販売不振の影響を受け採算は悪化している。そうしたなか日本電気硝子は、今後もガラスファイバーの需要は自動車市場の成長や自動車の環境性向上に伴い拡大するとの見通しから、今回の増強を機にガラス繊維事業を新たな収益源として注力したい考えだ。(編集担当:滝川幸平)