【コラム 金澤悦子】正しい『自分探し』のススメ

2014年6月23日 08:57

【6月23日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

 ●「夢は具体的に描くと叶う」の落とし穴

 ♪あのころ〜の未来に〜ぼくらは立っているのかな〜♪

SMAPのかつてのヒットソングではないが、

「私の人生、思った通り!」

なんていう人はそうはいないと思う。

サッカー日本代表の本田選手のように、小学校で書いた作文通りの人生を送っている人もいるが、本田選手と我々の違いは、

「Wカップで有名になって、ぼくは外国から呼ばれて、ヨーロッパのセリエAに入団します」

くらいに、自分の夢を具体的に描けていないことにある。

自己啓発本などには「夢は具体的に描くと叶う」と書かれている。本田選手はまさにそれを体現している。

誤解しないでほしいのは、

「夢を具体的に描いて叶えよう」

と提案したいわけではない。

だって、でっかい夢を妄想してみたところで、なんかフワフワと落ち着かないのが私たち一般人である。

叶ったらすごい!(けど無理だよね〜。ははは^^;)などと思ってしまえば、( )内の本音が現実化するそうだから、気をつけなければいけない。

では、実現可能な夢を描けばいいかというと、それは叶うかもしれないけど、あんまりワクワクしませんね。

そもそも、「私、何がしたいのかがわからないんです!」という人が多いのだから、「夢を具体的に描く」のはハードルが高い。

また変化の速いこの時代の中で、数年後の目標にむかって、ひたむきに生きていくのは、ある意味危険をはらんでいる。女性ならなおさら、ライフイベントによって人生どうなるかわからないし。

そこで、第一回のコラムで「キャリアドリフト」という考え方を紹介した。

だが、多くの読者から「流されてて本当にいいんですか? なんか不安・・・」と質問をいただいたので、漂流する際の心得について、触れたいと思う。

 ●洋服選びで人生は変わる!?

 アメリカの研究では、人は一日に平均70回ほど「選んでいる」そうだ。

そんなに!?と思うが、考えてみれば、

 朝ごはんはパンを焼くか、スープだけにするか・・・
服をスカートにするか、パンツにするか・・・
ランチはコンビニで買うか、外に出るか・・・
上司に今報告するか、後にするか・・・
スポーツクラブでランニングにするか、スタジオにするか・・・

 など、小さなものから大きなものまで入れれば、優に70回は超えそうだ。問題は、そのほとんどを意識しないで行っているかもしれないことである。

大げさかもしれないが、「目の前の選択」が未来の自分をつくっていると筆者は考える。

そういう意味では、たとえ社会人スタートが別の会社、別の仕事であっても、結局、今の自分に近しい感じに仕上がっていただろうと筆者は確信している。

もし、自分を変えたいと思っているならば、選択基準を見直せばいい。

未来の自分は描けなくても、日々の選択を「意識化」することはできるだろう。

戦略コンサルタントで声楽家の秋山ゆかり氏は外資系企業でシニアマネジャーになったとき、エグゼクティブコーチから徹底的に「洋服選び」を指導されたのだという。

基本はいつ何をどう着たらいいかを一週間単位で考える。

 「誰に会うのか」
「自分が目立つ必要があるのか?」
「それとも完全に溶け込んでしまったほうがいいのか?」
「そこではどんなメッセージを発信したいのか?」

 などの視点を持って服選びをする。(日経ビジネスオンライン「秋山ゆかりのキャリアアップ論」より引用)

メラビアンの法則によれば、人物の第一印象は見た目などの「視覚情報」から受けることが多い。(言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%)

つまり、服選びを戦略化すれば、周りからの評価が変わる。

すると、あなたを取り巻く環境が変わる。

これまで何気なく行っていることを意識化することで、「選ぶ」筋力がついてくる。筆者など、どんなテレビ番組が観たいのかを意識してみたら、人の生き様を描いているものばかりだった。今の仕事(女性のキャリア開発)は本当に天職であると自信を得るきっかけとなった。

「選ぶ」を意識すると、自分らしさが見えてくる。

明日は何を着ていく?

ぜひ意識してみてほしい。 【了】

 かなざわ・えつこ/株式会社はぴきゃり代表取締役・編集長。1991年、現株式会社リクルートホールディングス入社。94年、株式会社キャリアデザインセンターに創業メンバーとして参画。01年、日本初の総合職女性のためのキャリア転職マガジン「ワーキングウーマンタイプ」を創刊し、編集長に就任。5000人以上の女性を取材する。現在、女性限定「お仕事ブログ」コミュニティサイト「はびきゃり」の運営や、オリジナル素質診断ツール「i-color」を使ったセミナーを通じて、年間300人以上の女性たちを「ココロとサイフが満たされる仕事発見」へと導く。著書に、「ハッピーキャリアのつくりかた」(ダイヤモンド社)等がある。

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