シャープが表示領域にあわせた自由な形状の液晶を開発
2014年6月21日 21:31
4Kの登場などにより液晶ディスプレイは、高輝度や広視野角、高精細化や高色純度などの表示性能の高機能化が求められている。さらには、携帯情報機器の高性能化もどんどん加速しており、それに伴い、耐環境性能やタッチパネルによるユーザーインターフェース技術などの付加価値も要求されている。加えて、昨今のアプリケーションにおいては、高いデザイン性が求められており、各メーカーでは液晶ディスプレイの薄型化や軽量化、狭額縁化などをセットメーカーなどに提案している。
こうした状況のもとシャープ<6753>は18日、従来のディスプレイ形状の概念を大きく変革し、多様なアプリケーションに応じて新しいディスプレイのデザインを提案できる「フリーフォームディスプレイ」を開発したと発表した。
「フリーフォームディスプレイ」はIGZO技術の応用し、さらに独自の回路設計手法を確立した。これによりユーザーからの様々な形状ニーズに対応できるという。従来のディスプレイは、表示領域の外周部に、ゲートドライバと呼ばれる駆動用回路を配置する一定の額縁幅が必要なため、四角形状が一般的だった。新ディスプレイは、このゲートドライバを表示領域内にある画素内に分散して配置することで額縁を極めて細くするとともに、表示領域にあわせた自由な形状のディスプレイを設計することが可能だ。
これにより、たとえば車載用途であれば、スピードメーターとその他のモニターを1つのディスプレイに組み合わせたインパネができる。また、円形ディスプレイを搭載したウェアラブル機器や浮遊感のある映像体験を実現する大型モニター・デジタルサイネージなど、デザイン性の高いアプリケーションの創出が見込めるとしている。
今回試作したのは、このような車載用途のスピードメーターとその他のモニターを1つのディスプレイに組み合わせたもの。スペックについては、現時点では一切公表していない。シャープの広報部は「まずは、車載用途からの製品化を目指すが、時期についてはノーコメント」としている。
また同日に開催された中小型液晶事業に関する説明会では、代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当 方志教和氏が、同社の中小型液晶の需要動向や当社の生産体制について紹介した。高精細パネルへのニーズが進む中国セットメーカーへの対応として、今月から三重第3工場にて超高精細WQHDパネルを、来月から亀山第2工場で高精細FHDパネルを、各々生産開始するという。
加えて、今回の「フリーフォームディスプレイ」を発表。その席上で、方志教和氏は「当社は時代を先取りするディスプレイを世に送り出してきたが、今後も引き続き、IGZOを核として“驚きと感動”をお客様に与える商品を創出したい」と表明した。(編集担当:慶尾六郎)