避難弱者への対策 原発再稼働の条件に
2014年6月19日 20:20
「再稼働の審査が先行している6原発の半径30キロ圏内にある52市町村の避難計画のうち、病院で個別の避難計画を作っているのは217施設中18施設にとどまる」との新聞報道に、日本共産党の志位和夫委員長は「病院の避難計画は8%、老人ホームなど社会福祉施設の避難計画は25%にとどまる。避難弱者への対策なしに原発を動かすなど、全く論外」と原子力規制委員会が安全基準に照らして安全と判断した原発は早期に再稼働させる方針の政府を厳しく批判。避難計画など、地域の安全対策ができていない状態での再稼働はしてはいけないとの考えを強く示した。
一方、原発再稼働に日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会のいわゆる経済3団体トップは今月、安倍晋三総理に早期の原発再稼働を要請。先月には「原発再稼働プロセスを加速すべき」などとしたエネルギー問題の緊急提言も出した。
そこでは「資源の乏しいわが国にとり、省エネの推進、化石燃料の確保、研究開発体制の強化等エネルギー分野で取り組むべき政策は多岐にわたるが、現下の最重要・最優先課題は、低廉・安定的な電力供給の早期回復」などとし、「原子力を火力で代替するための燃料費負担は年間3兆6000億円にも上っており、電気料金上昇の大きな要因となっている。化石燃料依存度の上昇はエネルギー安全保障上のリスクをかつてなく増大させ、CO2排出量の大幅な増加により地球温暖化問題への対応にも深刻な影響を与えている」とアピール。
そのうえで「原子力規制委員会は人員体制のさらなる強化、審査の効率性・予見可能性の向上、処理期間の明確化を図り、安全性確保を大前提に審査プロセスを最大限加速すべき。政府は立地地域が求める防災対策等に万全を期すとともに再稼働の必要性を明確に説明すべき」などと訴えている。
この中でも、あげている「立地地域が求める防災対策等に万全を期す」という点からすれば「避難弱者への対策」は「再稼働の条件にすべき」との声もある。(編集担当:森高龍二)