三菱重工・独シーメンスが仏アルストムを共同買収提案
2014年6月17日 20:57
三菱重工と独シーメンスは16日、仏重電大手のアルストムを共同で買収する提案を行ったと発表した。共同買収は、先にアルストムに対して行われた米国GEの買収提案に対抗する狙いがあるとみられる。ただ、仏政府は、今回の買収に対してアルストムの雇用維持の面で懸念を表明しており、最終決着までには、時間がかかりそうである。
アルストム共同買収の提案は、具体的には、アルストムの発電タービン事業、送配電機器事業、水力発電事業で、それぞれ三菱重工が20~40%を出資する合弁会社を設立する。合弁事業への出資額は総額31億ユーロ(約4,300億円)となる。また、三菱重工は、アルストムに対し最大10%の資本参加を行う。
シーメンスは、アルストムのガス発電事業を39億ユーロ(約5,300億円)で取得する。また、交通輸送事業分野についてもアルストムと協議し、欧州における強力な輸送事業の確立を目指すとしている。
今回の三菱重工とシーメンスの共同提案は、アルストムの事業及び財務面での強化を目指し、今後の成長に向けた革新的技術への投資を可能にするものとされている。また、引き続きアルストムが、大部分の事業で主導権を維持するとされている。
アルストムをめぐっては、GEが総額169億ドル(約1兆7200億円)の買取額を提示し、エネルギー部門の買収に動き出している。GEが買収した場合、東芝が送配電機器事業を買収することも検討されている。
三菱重工としては、GE-東芝に対抗する上で、アルストムとの関係を強化する必要があると判断したものとみられる。また、火力発電分野に関してアルストムは、欧州、中東、アフリカ市場に強みを持っており、それらの市場でのシェア確保を図りたいとの思惑もある。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)