慶應大、網膜色素変性症のiPS細胞を作成し、メカニズムを解明することに成功
2014年6月17日 15:26
慶應義塾大学の小沢洋子講師らによる研究グループは、網膜色素変性症の患者からiPS細胞を作成し、そのメカニズムを解明することに成功した。
網膜色素変性症は、日本国内の失明原因第3位となっている病気で、4,000~8,000人に1人の割合で患者が存在すると言われている。視細胞に発現するロドプシン遺伝子の変異がその原因だと考えられてきたが、詳細なメカニズムは不明で、有効な治療方法もまだ発見されていない。
今回の研究では、ロドプシン遺伝子に変異のある網膜色素変性症の患者の皮膚細胞からiPS細胞を作成し、ロドプシン遺伝子変異を修復した。修復前と後の細胞を比較したところ、ロドプシン遺伝子変異のある細胞では、アポトーシスとよばれる細胞死が亢進していることが分かった。さらに、ラパマイシンという薬剤が効果的に細胞死を抑制することが明らかとなった。
患者由来のiPS細胞によって疾患の原因を解析するという今回の研究手法は、他の疾患メカニズム解明にも役立つと期待されている。
なお、この内容は6月13日に「Molecular Brain」オンライン版に掲載された。